NIA
あ
────音がする。
雄二は「音でない音」で目を覚ます。
耳では聞き取れない「それ」は、身体中の骨に響くような。
脳を擽るような。
肉体を震わす様な。
そんな「音」がすぐ近くで聴こえる。
だが、「それ」の正体は直ぐに分かった。
────何故なら、「それ」は雄二の目と鼻の先にあったからだ。
それは、卵だった。
いや、卵と言うには語弊があるかもしれない。
目の前の「それ」は鈍い、耳では聞き取ることの出来ない音を発し、蛍のような淡く儚い光を宿し、雄二の丁度腹の真上で浮遊していた。
そして、何より特徴的なのはその大きさだ。
楕円形の「それ」はスクールバッグ程の大きさがあり、渦巻き状の模様らしきものも確認出来た。
「ぇ────────」
思わず間の抜けた声を出してしまう。
しかし、以外にも雄二の心は冷静でいた。
「それ」はあまりにも幻想的で非現実的な、幻と夢が創り出す幻影にしか思えなかったからだ。
そんな半覚醒状態の雄二の頭を覚ますかの様に、今度は耳でも聞き取ることの出来る音が聞こえた。
殻を割る、とても綺麗な音色が。
────雄二の日常を変える鐘の音となって。
誰か1人でも読んでくださればまた続きを書きます。ら