せいぜい後悔すればいいよ
どこからともなく聞こえてきたその声。
「あなたは誰?」
私は震える声でその声のする方へ問い掛ける。
『君に置いてかれたヒト』
私には思い当たらなかった。
どちらかと言えば置いてかれる側の方の人間で
捨てられる側の人生だ。
母親にも見捨てられ、恋人が出来たとしても
事あるごとに別のヒトの所へと行ってしまう。
何でも許してしまうからダメなのか。
浮気したっていいよ。
仕事しなくたっていいよ、養ってあげる。
何をしてもどんなヒトでもいいから
ただひとつ。
私を愛してくれれば。
貴方が望む様に私が変わるから。
貴方の理想の女になってみせるから。
だから私を愛して。
そこまで思い返して気付いた。
そうか。君はいつかの私。
私がまだ自分を持っていたころの私。
ごめんね、今はもう、どれが本当の自分かも
分からないくらいに汚れてしまったよ。