お金を返します1
「鍵なんか掛かってないぞ」
「知ってるわ!嫌がらせだよ。い・や・が・ら・せ」
「で、何のようだ?俺と喧嘩しに来たのか?おいおいおい、辞めてくれよ俺が勝っちまう」
「するか!いちいちムカつくやつだなぁ。おい金はどこだはやく渡せ」
「お金ならここに」
「へぇ……この男からから借りたのか。お前も運が悪いなぁ。こんな悪女に金渡すなんてよ」
悪女?この子が?こいつのハッタリっていう可能性もあるが……
「どういう事だ?」
「お前知らねぇのか?こいつの名前聞いたら普通分かるだろ」
「俺はこいつの名前を……知らない」
「ハッハッハ!やっぱこいつ悪女だわ!いいぜ、教えてやるよ」
「やめて!」
「こいつの名前はアボミナブ・サリッサ。竜人族だよ」
「いや……」
「へぇ、サリッサって言うのか」
本人の口からじゃないけど名前が聞けてよかった。
過去になんかしでかしたのか?それなら今ここにいる時点で釈放されてるはずだ。そもそも竜人族ってもっと山奥に住んでるはずじゃ?
「過去のことなんて俺は気にしない。問題は今どうしてるかだ」
「あっ?お前百年前の大戦のこと許すってのか?」
「……」
「お前も黙ってねぇでなんとか言えや。私は人類を殺しまくった悪魔です。ってな」
「そんな……私は殺してなんかない!」
「どーだか。で?お前金取り返すならいまのうちだぜ」
……正直どうでもいい。大戦なんてのは俺は知らないし被害を受けたわけでもない。サリッサの反応を見てるとこいつの言ってる事は本当らしい。ていうかサリッサ人間じゃ無かったのか……まぁカワイイは正義だからな。第一俺は
「俺は約束は破らねぇ。相手が竜人族だろぉと人間だろぉとなぁ」
「ハッ!残念だ。おい!入ってこい。こいつをぶちのめせ!」
そう言うと大柄の男が入ってきた。
「こいつを殺ればいいのか?」
「あぁ。報酬ははずむぜ」
ギロりと俺を睨みつけ背中の剣に手をつける。
「悪く思うなよ」
剣が振り下ろされた。