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むっつめ 足りないのは社会性

「ああ!!ほんの少し目を離しただけなのに!!」


 白い軟体生物ナメクジは三分の一程度まで減少していた。ここの命がなくなればどうなるのか、興味はあるが、試したくない理由もある。


「他の惑星はまだ知的生物は現れていない。もしやと思うが、ここしか条件があわなかったのか?」


 動きを見せない緑を基調とするものはあるが、こちらが問いかけても反応はない。

 つまり、軟体生物は話しかけると反応を見せたわけだが、


『だれ?』

『俺だよオレオレ。いまさぁ、怪我しちゃってさぁ、食いもん恵んでくれねぇ?』

『おけ』

 モシャ


 このように芳しくはなかった。それ以前に怪我したから食べ物を要求する時点で何かおかしいし、要求された側が相手を食べるのを見たときは、ついに自身の感覚がおかしくなったのかとさえ考えた。


 そんなこんなで、しばらく観察を続けたのだが、ようやくある確信を得るに至った。彼らは言葉を使うが、それだけだ。同じ言葉が同じ『意味』を持っていない。この共通認識の有無が彼らのおかしな行動の正体だと感じたのだ。


「それがわかったからどうしろと……」


 手詰まりだ。こちらの言葉が届かない以上、自然にそういった知恵をつけてもらうしかない。ああ、残念だ。また気の遠くなるほどの時をひとりで過ごすのか……




 *




 指先より小さい身体に、僅かな意識、今は自由に動かせるが簡単な命令を与えると、自身の知識に則った行動を起こす。


「意外と簡単にできたな……」


 代行体の体の一部――まあ頭髪を使ったわけだが、それを組み込むことで自我のなかった宇宙を集めて作ったヒトガタが非常に弱い意識を持った。ちなみに、会話もできたが次に相手が何を言うかがわかっている会話などおもしろくもない。

 とはいえ、自身の意識とは独立しているにも関わらず、自身の考えたとおりに動いてくれる優れものだ。


「命令は二つ、彼らと接触し、彼らが関わり合うために最低限必要な指標を作らせること。それが終われば速やかに消えることだ」


 故に、命令は多少あやふやでもいい。二つ目の命令は彼らと違うものが居続けるのはよろしくないと考えたからだ。


 そっと世界にヒトガタを置く。手の掛かる命を助けるために。

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