よっつめ やっちゃった
一個目、光の珠。
そもそも構成する物質が少なすぎて、形にならない。よって、失敗。
二個目、冷たい珠。
光球とは逆に熱を持たないそれは、形は変わるが思考は生まれず。失敗。
三個目、物質の塊。
なんか形変えようとしたら、物質どうしがてんで滅茶苦茶に結合する。
「……」
『挫折』
*
「落ち着こう。まだ始めて間もないじゃないか、うん」
それに、この暗くて重たい感情を定義したのだ。また一つ賢くなったではないか。
土色の物体を手の中で転がしながら、むちゃくちゃに繋がった物質をほぐしていく。同じもの同士で繋がっているならいざ知らず、あっちにくっつき、こっちにくっつき、といった具合に法則性がみられない。
「とにかく、自身と同じようなものを創るには直接体から創ることはできないのは間違いないな」
ついでにいえば、いままで創った物質は、いつの間にか自身にもわからない変化が起きていたみたいだ。
ひさびさに長い思索に耽りながら、ほぐし終わった土塊を眺める。と言うよりも、後悔した。
「混ざったままの方がおもしろくなったかもしれんな」
今度は意識しながら、混ぜ合わせる。足りなくなるなら新しく創ればいいから気楽なものだ。だんだん調子に乗って、光の珠や冷たい珠やら、創ったもの一切合財を放り込む。
やりすぎた。
*
「どーしよ、これ……」
あんまりな出来に新たに『嘆く』という感情を理解しながら、もはや代行体では触れることすら叶わなくなったそれを見つめる。
閃光が舞う光球は、触れば痛みと共にこの身を阻み、青々とした中身を護るように取り巻いている。
中でどのような変化が起きているのかは確認できない。
さらには、似たような光球があちらこちらに、実に六十二万個。
もう、危ないし、やめとこう。
その結論を出すや、宇宙を操作して適当に散らしておく。失望と共にある実験をする。
「意識を封印、休息……」
始めに疑問がわいてから、その思考は働き続けていた。考えることばかりだっただけでなく、思考を辞めれば虚無に飲み込まれるという危惧が有ったからだ。
だが確固とした自我を、代行体という殻に押し込めた今なら、そんな体験も出来ると考えた。
「zzz ……」
要はふて寝したのだが。