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みっつめ 時間が経って……
どれぐらい時間が経っただろう。
自身の身体――『黒い』粒子――の中には、光の珠がたくさん浮かんでいる。光らない珠も沢山あり、それを構成するのは数十もの物質の素だ。
黒い粒子を『宇宙』と名付けてどれくらい経っただろう。今なお広がり続けているそれを全て消費する事はすでに諦め、同時にある欲求が生まれた。
「自分と同じく、自我を持つ存在が欲しい」
さまざまな実験を繰り返し、今や多くの物質が浮かぶ宇宙。
だが初めのように、体を分化しようとしてもうまくいかない。構成する自我は全ていまのからだを創るために集約してしまった。我ながら、思考が生まれたのは偶然だと理解しているので、時間に身を任せたとしても自我は生まれない。
自身が生まれた経緯は特殊だ。しかし、何かきっかけになるものが有れば、かつての微睡みの中のようなあやふやな、思考ともいえない小さな活動が有れば。
浮かぶ物質の中から、活発に燃え続ける光の珠を手に取る。
片っ端から試せば良い。どうせ時間は腐るほど有る。