ふたつめ 輝く光を創りました
「とは言え、なにもしようがないんだよなぁ」
呟きながら、残った粒子を眺める。自分の身体を構成するのに使った粒子は、むしろその残りの方が多い。獲得した自我を集めたとき、多くても無駄と考えて必要最低限しか使わなかったことが悔やまれる。
「ふむ、『悔やむ』、か……」
自身の行動に対する評価、これはまだ知らない概念だ。ただ、評価と言っても、思考に渦巻くそれは、余りにも言語化しにくい。
「曖昧すぎてよくわからん。この先ずっとこの感覚が現れるなら、名前をつけた方がよいか……」
ふむ、ならばこれは『感情』とでも呼ぶか。
それにしても、粒子以外は本当になにもないところだ。粒子といえば、これはまだ動かせるのだろうか。
「きちんと触れて、意識を集中すれば……」
至極あっさりと動いた。元は自身の身体の一部なのだから、ある意味当然か。
暇に飽かせて粒子を弄ぶ。手に集めて固めてから、腕を振って投げる。固めた粒子はそのままの形を維持してふわふわと漂う。
何の面白味もない。
「ならば、この粒子を別のものに変えられないだろうか……」
ふと、気づく。何に変えるのか、全く見当がつかないのだ。何も参考になるものが無いということは、それを自分で考えなければならない。
やがて、自分以外のものが無いか確認する方法が欲しいと思った。ただそれだけで、
「うぉ!?」
周囲を観察するための器官――目を強烈に灼く何かが生まれた。目を瞬時に周囲の環境に合わせ、生まれたものを確認する。
「これは……周りはこうなっていたのか」
目に写るのは粒子の姿。確かに、自分の意志で動かすことができるようだ。自我を結集して作った身体――代行体とでも呼ぼう――の大きさをはるかに上回っている。
偶然とは言え、できたものにきちんと名前をつけた方がいいだろう。しばし考え、しっくりきたものは
「『光』か。まあこれぐらいが妥当だろう」
しかし、できた光はやがて消えてしまった。
代行体は粒子の軍団の外にいても維持できるが、それ以外の創造物は粒子の中に沈める必要があるようだ。
代行体を除けばやはり身体を切り崩した物でしかないという結論にいたるまで、実に七万回以上もの失敗を重ねていた。