木枯らしが吹く冬なのに肝試しなの?
僕の名前は今川文明。
今日はクリスマスイブだが、木枯らしが吹きつける古い神社に、二人のクラスメイトとともにいる。
季節外れの肝試しをやるため、ここに来ているのだ。
一人は中学時代からのライバルであり、親友でもある織田伸大である。
そして、もう一人は出雲愛弓尼という、変わった名前の女の子だ。
昼間は多くの人で賑わう地元の神社だが、夜になると人気がなく、ひんやりとした空気がアクセントになって、不気味なことこの上ない。
なぜ冬に肝試しなの?
普通は夏じゃないの?
もう帰ろうよ。
僕の問いかけに、二人は答えようとしない。
愛弓尼は、鞄の中から取り出した蝋燭に火を灯した。
蝋燭の明かりが、怪しく揺れる。
あなたは何をやってるの?
その蝋燭の方が、この神社より不気味で怖いんだけど。
ホント、もう帰ろ?
愛弓尼は、手頃な大きさの枝を拾い上げると、枝先で、大きな円や不気味な幾何学模様を地面に描き始めた。
それは魔法陣ですか?
ついに、頭がおかしくなりましたか?
ホント、ごめんなさい。
今すぐ、家に帰らせてもらえますか?
伸大に声をかけようとした時、急に体が軽くなった。
そして、体が浮いたようになり、街の光が遠のいていくのがわかった。
徐々に意識が薄れていく中で、一つの記憶と今の想いが交差した。
夏休みになったら肝試しをやろうって、伸大たちと約束してたな。
普通、肝試しは夏にやるよね。
冬の肝試しなんて、アタオカレベルで、ありえんし。
伸大は、煌めく満天の星々を見上げる。
「ちゃんと行けたかな。」
「文明君、オカルト好きだったもんね。」
愛弓尼は、目に涙を浮かべている。
「夏休みになったら肝試しをやろうて...。オカルト本まで用意して、張り切ってたのにな。」
「結局、冬になっちゃったけど、文明君は喜んでると思うよ。」
冷たい木枯らしが、二人を吹きつけている。




