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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第8承 最終和【幸承】

糸は、深く息を吸った。


震えそうになる膝を、必死に支える。

それでも――逃げなかった。


なぜなら、

ここに立つことこそが、

**生き残った者に課された“使命”**だと知っていたから。


「……私は」


声が、かすれる。


だが、糸は続けた。


「私は、この一年……

 毎日、神様に問い続けました」


会場にいる全員が、息を呑む。


世界中が、ライブ中継で見守っていた。


「どうして、あんな闘いが必要だったのか

 どうして、あんなにも多くの人が消えなければならなかったのか」


糸の脳裏に、浮かぶ顔。

悠真。

美桜。

蒼真。

進藤。

ジェイデン。

虎永。

信長。

麗香。

實光。

源蔵。

バニー。

LUNA。

レイ。

そして――海里。


「……でも、今なら、わかります」


糸は、胸に手を当てた。


「神様は、罰を与えたんじゃない」


「“選択”を、私たちに委ねたんです」


ざわめきが、会場を包む。


糸は、天を仰いだ。


「人は、争うこともできる

 壊すことも、奪うこともできる」


「でも――」


声が、強くなる。


「守ることもできる

 愛することもできる

 未来を、選ぶこともできる」


糸の目から、涙が溢れ落ちる。


「伊邪那美命様は、言いました」


「一年で、世界が変わるなら、再生を許す、と」


糸は、はっきりと宣言した。


「――世界は、変わりました」


その瞬間。


会場のスクリーンに映し出される映像。


・核兵器の完全廃棄条約

・戦争終結宣言

・世界同時祈祷の日

・争いを止めるために手を取り合う人々


「完璧じゃない」


糸は、首を横に振る。


「でも――

 “戻ろう”と、決めたんです」


糸は、深く、深く、頭を下げた。


二礼。


そして――


八拍手。


一つひとつに、祈りを込めて。

そして壇上から、一人の少女を呼び寄せた。

美桜と悠真の娘、未希の手を引いた。

この1年間、二人は姉妹のようにいつもそばにいた。


「神様」


声が、震える。


「約束を、果たしました」


糸は、泣きながら、叫んだ。


「だから――」


「だから、どうか……!」


「みんなを……

 ここに、戻してください……!」



空が、裂けた。


それは、破壊ではなかった。


光だった。


雲を割り、

空の奥から、

眩いまでの世界が、姿を現す。


――高天原。


白銀の雪が、舞い始める。


だが、それは冷たくなかった。


どこか、懐かしい。


光の糸が、無数に降り注ぐ。


その一本一本が、

失われた命への道標だった。


そして――

歌声が、響いた。

イメージBGM:




『ShayleeMary−Auld Lang Syne(蛍の光)』




(“イメージとして推奨される楽曲であり、作中使用はありません”)



それは、LUNAの声だった。


泣きながら、微笑みながら、

世界を包む歌。


光の糸に導かれ、

人影が、現れ始める。


最初に現れたのは――

バニー。


「……もう、泣くなって言ったでしょ」


ジェイデンが、笑って隣に立つ。

ジェイデンの妹がメアリー抱きかかる。

メアリーの腕にはジェイデンがつけていた数珠がブレスレットのように光っていた。

そしてメアリーは自分が創ったメダルをジェイデンに懸ける。

涙を流すジェイデン家族。メダルには親愛なるジェイデンへと記されている。


次に――

未希が、転びながら走る。


「ママ!!」


美桜が、膝をついて、娘を抱きしめる。


「……未希……ごめんね……」


「ううん……ママ、パパ……ありがとう……大好き」

「これからは、みんな、ずっと一緒だからね。」

美桜の涙が止まらない。

悠真が、そっと二人を抱いた。

「家族っていいな。人生やり直すかな」

進藤がつぶやくな否や

「手を貸してやってもいいぞ」

源蔵が言い返す。

「じいさん、特攻したんじゃねのかよ」

進藤の言葉に

「わしの仲間たちがな、ゆるさんのじゃよ。もっと人を助けろと。仕方なしに戻ってきたというわけじゃ。それと、わしはあいつを立派な政治家に教育せんとな」指さす方向には、全力で走って向かってくる孫の颯がいた。


「父上、母上、虎永はサムライとして闘ってまいりました」

「よくやったぞ、虎永、見事な闘いだった。よって褒美を渡す。」

「ありがとうございます。父上。褒美とは何ですか」

「虎永よ」虎長の父と母は力いっぱい虎永を抱きしめた。」

「甘えなさい。家族旅行に行くことを今、決めた。」

母は優しく虎永にささやく。

「愛しい虎永、よくぞご無事で戻ってきてくれて、母は母は、最高の贈り物です」


そして――

鷹宮澪の弟、蒼真。


「姉さん」


鷹宮は、声を失い、

ただ、抱きしめた。


「……おかえり」


信長、麗香、實光。


そして――

LUNAは、歌いながら、

レイと手を繋いで降りてくる。


最後に。


光の中から、一人の少女が現れた。


高校二年生の姿をした――

海里。


三種の神器を、静かに手に携え。


糸は、言葉を失った。


「……海里……?」


海里は、笑った。


あの時と同じ、優しい笑顔で。


「約束、守れたね」


糸は、駆け寄り、

何度も何度も、抱きしめた。


「……行かないで……」


「もう、どこにも行かないよ」


その瞬間。


雪が――

桜に変わった。


会場にいる人々、

世界中の人々の手の甲に、

同時に文字が浮かび上がる。


【幸承】


それは、神に与えられた力ではない。


人が、人に託した未来の証。


争いではなく、

支配でもなく、

犠牲でもない。


――幸せを、受け継ぐという誓い。


こうして。


八岐大蛇との闘いは、全て終わった。


そして

この物語は、

未来永劫、語り継がれることになる。


人が、怪物を成敗した話ではない。


人が、神の導きによって

人であることを、選び続けた神話として。


――完。

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