第2承 第1和 【選ばれし者たち】
島根の光柱が消え、山間の町には一時の静寂が訪れた。
だがその静けさは、単なる夜明けではなく、世界の変化を告げる前触れだった。
海里は避難所の簡易ベッドで目を覚ます。
手の甲の光は消えていたが、胸の奥のざわめきは残っている。
「……まだ、呼ばれている……」
小さな声に、隣で寝ていた避難者の寝息だけが答える。
これは地震でも台風でもない。
世界のどこかで、何かが動いているのだ。
東京・総理官邸。
鷹宮澪は、全国のモニターを眺めていた。
島根の地中から送られるデータ、そして世界中の“神承者の兆候”。
「今回の現象は、単なる自然災害ではない」
彼女の声は静かだが、確かな覚悟が込められていた。
アメリカ・陸上トレーニング施設。
ジェイデンはスタートラインで動けなくなっていた。
手の甲の光が突然脈打ち、全身の血が逆流するかのような感覚が走る。
「This… is happening again…」
彼の心に、島根の地から届く“呼び声”が響いていた。
コンビニの青年・蒼真。
店内の朝の忙しさを感じながらも、手の甲の光に気づく。
「……俺だけじゃない」
世界のどこかで、同じ光が点滅している。
彼らはまだ互いを知らない。
だが確実に、運命の糸で結ばれつつあった。
一方、出雲大社付近。
海里は桐生と糸と共に、光の導く方向へ向かっていた。
昨日の封印復唱によって、八岐大蛇の動きは一瞬止まった。
だが、影は完全には消えていない。
「封印は終わっていない……」桐生がつぶやく。
「私たちが揃ったからこそ、これからが本番よ」糸は微笑む。
地下の亀裂の奥。
八岐大蛇は赤い瞳を光らせ、ゆっくりと身を翻す。
その動きに呼応するように、海里の手の甲が再び光る。
胸の奥のざわめきが、恐怖を越え、使命感に変わった瞬間だった。




