第6承 第4和【八岐大蛇 弐腫 氷の首 信長 前闘】
八岐大蛇の八首が同時に暴れ狂う中、
蒼真は「土の首」と地層の奥底で争い、
麗香は天空で「雷の首」と稲光を交わし、
美桜は火の雨の中で「炎の首」と激突し、
虎永は風刃に吹き飛ばされながら「風の首」を押し返し、
バニーは毒の霧の中で体内から焼かれ、
海里は影の自分(影の海里)と共に暗黒の首へ立ち向かっていた、
進藤は“白い首”の理を喰らう怪物と死闘を続けていた。
その地獄の中心で――
信長はひとり、氷の首の領域に踏み入った。
足元は瞬時に氷結し、雪原は無限に続く。
樹木も山も、時間さえも凍って見えた。
「……ここは、まるで死んだ世界」
信長の吐息は白く、小さな霜の粒となって砕ける。
そのとき――
大地が“割れた”。
ズ…オオオオォォォ……ッ。
氷河の裂け目から姿を現したのは、
白銀の鱗と氷柱の牙を持つ巨大な蛇――
氷牙
“氷雪と冬の理を司る古代神”
八岐大蛇の一首として封じられていた存在。
「貴様か、人の子。
その身に、燃ゆる理を宿すものよ……」
声は風雪そのもののように冷たかった。
信長は刀を抜き、静かに構える。
「俺は信長。“火の理”の承者。
ここを通さぬ。それだけだ」
氷牙が笑った。
「武の魂か……
貴様の祖、織田信長の残響が震えておるぞ」
■ “血脈”の覚醒
ズォォンッ!!
氷牙の吐いた息が地面を凍らせ、その氷は“刃”となって空を裂いた。
信長は転がり、飛び、斬り返す。
――キィィン!!
凍てつく衝撃が骨まで響く。
(こいつ……一撃が重い。
だが、退けば皆の命が散る)
その瞬間、耳に仲間たちの声が重なる。
「信長っ! そっちは大丈夫か!」
──虎永、風の中から叫ぶ。
「時間がないわよ……アトランティスが京都に!」
──麗香、雷鳴の向こうで。
「海里……まだやれるか!?」
──影海里、暗黒を裂きながら。
彼らの声が氷獄の中に届くたび、
信長の胸に宿る“火”が強く燃えた。
そして――
信長の背後に、影が立った。 その時だった。 ――カラ……ン。 どこかで、古い拍子木が鳴ったような音がした。 ついで、信長の脳裏に“声”が響いた。 《……惰弱なるな。 我が名を継ぐならば、立て、信長。》 一瞬、戦場の光景が変わる。 火縄銃の煙が上がり、 槍足軽の影が横切り、 朱塗りの甲冑の武将が振り返る―― それは紛れもなく、 戦国の覇王・織田信長。
鎧は破れ、脇差は血に染まり、しかし眼光は鋭い。
「――天下布武。
ワシの志を継ぐか、信長よ」
「……もちろんだ。
俺は、あんたの名を背負ってる」
すると、戦国信長の影は微笑んだ。
「ならば、燃えよ。
“天下布武の残響”――覚醒の時ぞ」
信長の身体に赤黒い火が宿り、刀身が燃え始める。
火 × 氷 理と理の激突が始まった。




