第6承 第1和【神々の闘いへ】
— 實光、人柱ののち —**
京都・鞍馬山がモニターに映し出されていた。
實光の身体が“闇と光の渦”に吸い込まれた瞬間、
世界がひとつ、深く呼吸を止めた。
糸は叫んだ。喉が裂けるほどに。
「いやぁぁぁああああ!!!」
しかし黄泉の結界はもう閉ざされていた。
残されたのは焦げた護符と、實光の最後の笑顔だけ。
誰も泣く余裕はなかった。
空が――裂けたからだ。
八岐大蛇。
その巨影が全土を覆い、
實光の犠牲で結界に封じられていた“エネルギー”が一気に噴き出す。
オメガを失ったことで、
八岐大蛇の本性は暴走状態に突入していた。
再生能力は消えたが、力だけが異様に増幅している――。
神承者・信承者たちは最終戦列へ立ち並ぶ。
風が荒れ狂い、雷が地を裂き、
死んだはずの炎が空を再び赤く染めた。
海里、麗香、バニー、信長、虎永、蒼真、美桜、進藤――
そして泣きながら立ち尽くす糸。
八岐大蛇の八つの首が、それぞれ異なる“理”を持って目覚める。
暗黒の首:星を喰う闇
雷の首:天を裂く怒号
毒の首:死すら腐らせる瘴気
氷の首:魂を凍らせる絶対零度
風の首:法則を乱す乱気流
土の首:天地を圧壊する重力
炎の首:灼熱の神炎
白い首(主蛇):“理を喰らう”世界の終焉
海里は、涙で視界が滲む中、
實光の遺した護符とジェイデン尾の数珠を握りしめて呟いた。
「――もう誰も、死なせない。
私達で終わらせるんだ……!」
麗香が濡れた頬を拭い、雷を纏って叫ぶ。
「泣くのはあと!!行くよ、海里!!」
美桜が炎を灯し、笑顔で糸に振り返る。
「糸ちゃん。大丈夫。絶対戻ってくるからね。」
蒼真は黙って頷き、土の鎧を固めた。
虎永は風を纏い、笑った。
「よっしゃァァ!!ぶっ潰すぞ!!!」
信長は氷の刃を静かに構えた。
バニーは毒を体に注ぎながら、
薄く微笑んだ。
「アンタの涙は、誰にも流させないよ」
そして進藤――白い首の担当者。
彼だけがすでに血を流していた。
主蛇はすでに“彼”を狙っていたのだ。
「俺は……逃げない。
實光さんの死を……無駄にはしない!」
糸は涙を手で拭い、声を震わせながら叫ぶ。
「みんな!!絶対に……絶対に!!
生きて戻ってきて!!」
その瞬間。
八つの首がいっせいに咆哮した。
京都の空が砕け、地が鳴動し、
神承者と信承者は、
それぞれ担当する“理の首”へと走り出す。




