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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第5承 第2和【日本武尊 参上奉る】

進藤尊が最初にゲームの世界で名を知られたのは十年以上前だった。


《SHINDO》

《WHITE_WOLF》

《The_Last_Takeru》


さまざまなハンドルネームを使い分け、

世界大会を総なめにし、AI戦も制し、

VR・戦略シミュレーション・格闘・MOBA――

手をつける分野すべてで優勝を取った。


人々は彼をこう呼んだ。


「世界のどこかに存在する、影の王。」


だが誰も知らなかった。


彼が何者なのか。

どこに住んでいるのか。

年齢、性別すら不明だった。


そして――

その正体は、


■ 引きこもり歴30年

■ 50代

■ 独身

外出恐怖症アゴラフォビア

■ ただ強くなりたかっただけの、孤独な男


だった。



進藤が外へ出れなくなったのは、20代の事故がきっかけだった。


暴走車から子どもを庇い、

彼は大怪我を負った。


「あなたの判断が危険を呼んだ」

「若いくせにヒーロー気取りか」


当時の進藤を責める声が、ニュースやSNSを通じて押し寄せた。


正義をしただけなのに嘲笑され、

逃げるように部屋へ閉じこもり、

世界を断ち切った。


家族はすでに他界し、

友人もいなかった。


残ったのは一台のPCと、

ネットの海だけだった。


進藤には、幼い頃から夢があった。


「ヒーローになりたい」


誰かを守れる存在に。


しかし事件以来――

彼はその夢を、

自分の心で静かに葬ってしまった。


(もういい……誰にも迷惑をかけない。

 俺は外に出ない。

 世界は俺を必要としてない。)


閉じた部屋の中で、

時間だけが進んでいった。



ある日。

手の甲に焼けるような痛みが走った。


皮膚の下から光が滲み、

そこには神承の文字が浮かび上がっていた。


《神承》


進藤は初めて悲鳴を上げた。


(ち、違う……なんだこれ……やめろ……!

 俺はヒーローなんて……もう――)


しかし、その瞬間――

彼の脳内に雷鳴のような声が響いた。


『時は巡った。

 我が魂を継ぐ者よ。

 立て。』


姿なき声。

それは日本史最大の英雄――


日本武尊ヤマトタケル の声だった。


「俺は、間違った者に選ばれたんだ!」


進藤はそう叫んだが、

神の声は静かに言った。


『間違いではない。

 お前は、一度世界を救ったことがある。

 あの日――子供を守っただろう。

 お前の勇気は死んでいない』


進藤は震えながら床に崩れ落ちた。



それからの数日、

彼は神承者戦の配信と中継を見続けた。


海里の戦い。

蒼真の勇気。

美桜の炎。

レイの演算。

虎永のサムライ魂。

バニーの防壁。

LUNAの神の歌。                                                                                     そして消失していった神承者。                                                       悠真の慈愛                                                                 ジェイデンの勇気                                                                 源蔵の永遠の志


彼らは

「外へ出ることが怖い」

そんな進藤には到底できないことをしていた。


彼は息を呑んだ。


(……俺と同じ人間が……

 怖いはずだ。痛いはずだ。

 それでも戦ってる。)


進藤の心は爆発した。


(……見てるだけか?

 また俺は……見ているだけか……!?)


胸の奥で、

死んだはずの“少年の夢”が蘇る。


『ヒーローになりたい』


進藤は叫んだ。


「……行く。日本武尊さんよ、

 あんたの力でも……なんでも使え。

 俺は今度こそ――本物のヒーローになる!」



現実世界は、地獄に変わった。


八岐大蛇の八つの首が暴れまくっている、

自衛隊は消し飛び、

神承者たちは絶望の中で立ちつくしている。


その中で――


進藤は、

人生で三十年ぶりに玄関のドアノブを握った。


手が震えた。


足がすくんだ。


それでも。


「行かせてくれ……頼む……!」


外の光に触れた瞬間――

世界が白銀に染まり、

天が裂けた。


《英雄神》――日本武尊が降り立つ。


その影から、

進藤尊はゆっくり姿を現した。


白銀の鎧。

剣には火と風の気配。

背中には数十年越しの覚悟。


海里が震えながら言う。


「……あなた……誰……?」


進藤は静かに剣を掲げた。


「世界最強ゲーマー。

 でも、リアルではただの引きこもりだ。」


バニーが唖然とする。


「……お、おっさん……?」


進藤は笑った。


「だがな。

 今日だけは――

 本気でヒーローをやらせてもらう。」


八岐大蛇の主蛇が進藤を見下ろし、

恐怖の響きをもつ笑みを浮かべた。


「……英雄の魂よ。

 また我らの前に立つか。」


進藤は言った。


「今回は逃げない。

 お前を斬るのは……俺だ。」


その瞬間。


日本武尊の神気が爆発し、

空が震え、地が割れ、

富士山全体が光に包まれた。

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