第5承 第1和【八岐大蛇 出現】
富士山噴火警報が全国に鳴り響いた瞬間、
MIKADO崩壊後の混乱に追い打ちをかけるように、
地殻そのものが「悲鳴」のような低周波を吐き出した。
地上の誰もが――
胸を握りつぶされるような圧迫感を感じた。
次の瞬間、富士山頂火口が、
赤黒い光柱 とともに破裂した。
噴煙ではない。
火山弾でもない。
それは――“神代の災厄そのもの” だった。
◆ 八岐大蛇顕現
地中深くから叫び声のような轟音が響き、
日本列島を背骨から折るかのような地震が続く。
そして――
八つの巨大な影が、火口から突き破るように出現した。
一つ一つが、都市を崩壊させられるほどの巨体。
それぞれが独自の意識を持ち、
違う戦闘本能、違う属性、違う破壊衝動をまとっていた。
炎の首
雷の首
毒の首
氷の首
風の首
土の首
暗黒の首
“理を喰らう”白い首(主蛇)
八つの首が同時に咆哮した瞬間、
世界は“終わり”の匂いに包まれた。
◆ 特別自衛隊 ―― 陸・空、瞬殺
日本政府は直ちに国防レベル7を発令。
陸上の最新鋭対大型兵器、
空のステルス戦闘機群、
海からの長距離誘導兵器が同時に八岐大蛇へ向けて発射された。
しかし。
八岐大蛇の首の一本が、
まるで“風を払うだけ”の軽さで振り向いただけで…
地上部隊は一瞬で蒸発。
空の航空団は、雷の一閃で空白になった。
人類の兵器は、
まったく通用しなかった。
各国も震えた。
「これは……災害ではない。
神話の侵略だ。」
◆ 神承者出撃――だが、絶望
海里、蒼真、LUNA、レイ、美桜、バニー、虎永、
そして傷を負った者を除く全神承者が集結。
しかし。
彼らの神器の攻撃でさえ、
八岐大蛇の“皮膚の浅層”にすら届かなかった。
ただ一振りの尾が跳ねただけで、
海里は草薙剣ごと数百メートル吹き飛ばされ、
蒼真の神歌は周囲の空間が歪むだけ、
美桜の天照炎は別の首に吸収され、
レイの富嶽零式コードも干渉不能。
バニーがかろうじて防壁を展開したが、
それすらも数秒で粉砕された。
神承者たちが初めて抱いた感情――
「勝てない」だった。
そのときだった。
◆ 高天原より閃光降臨
―― 日本武尊の神承者
戦場全体に、
まるで天の門が開くような白い光が差し込んだ。
空間そのものが“さざ波のように揺れ”、
風が止まり、火の粉が空中で静止する。
世界が「待つ」ように沈黙した。
次の瞬間――
天上から、
一柱の神が舞い降りた。
その姿は、
八岐大蛇の八つの首すべてを睨み据えるほどの威圧と、
静かな神気をまとっていた。
白銀の鎧。
火を宿した剣。
そして暴風のような気配。
周囲の空気が震える。
海里が息を呑む。
「……あれは……!」
虎永がひざをつく。
「まさか……“英雄神”……!」
LUNAが囁いた。
「高天原が……ついに動いたのね……」
そして、その神の影から、
静かに、一人の男が降り立った。
その光から現れたのは、
ひとりの“英雄の魂”。
日本武尊。
そしてその器となったのは――




