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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第4承 第7和【天逆毎 再臨】

神承者たちは疲労で膝をつきながらも、互いの生存を確かめ合っていた。


海里が草薙剣を杖代わりに立ち上がり、息を吐く。


「……もう、これで全部……終わって……」


その声音が震えた。


だが――


その瞬間。


空が、再び裂けた。


世界中の通信網が同時に悲鳴を上げる。

《天逆毎 再臨》


空が黒く渦を巻き、巨大な女神の輪郭が現れる。


無数の“怨嗟の声”が混じり合い、空を腐らせる。


海里が息を呑んだ。


「……倒したはず、なのに……!」


レイが震える手でポータブル端末を叩く。


「違う……これは“復活”じゃない。

 あれは……怒りと怨念の“暴走体”。

 もう理性がほとんど残ってない!」


天逆毎は叫んだ。


「――返セェェェェェェ!!!!」


その声だけで地面が波打つ。


美桜は娘の写真を胸に抱くように握りしめ、決意を固めた。


「……逃げない。

 娘を守るために……私は、ここで倒れない。」


バニーが拳を握る。


「美桜ちゃん、アンタひとりに背負わせないよ。

 うちら全員、帰りたい場所があるんだから!」


そして、神承者たちは再び立ち上がる。




雷鳴。崩壊した天と大地。


天逆毎が放つ黒雷は、ビル群をまるで紙のように吹き飛ばす。


蒼真が叫ぶ。


「虎永!! 来るぞッ!!」


「任せて!!」


虎永の神刀《童子切》が光の弧を描き、黒雷を斬り裂く。


海里は草薙剣を構え、仲間の前へ飛び出した。


「天逆毎!」


草薙剣が赤金色に光り、空気が震える。


しかし天逆毎は怒りのまま、海里に向かって黒い腕を伸ばす。


瞬間、蒼真が海里を押し飛ばし、代わりに直撃を受けた。


爆音。


蒼真が吹き飛び、血が舞った。


「蒼真!!」


美桜が叫び駆け寄る。


蒼真は唇を噛んで言った。


「俺は……姉さんの代わりに……

 世界を守るために……死ねないんだ……!」


痛みに震えながらも立ち上がる蒼真。


そこへ、LUNAの歌声が響いた。


《神詠:天縫いのラメント》


風が変わる。空気が澄む。


LUNAの歌が仲間の傷を癒し、動きを加速させる。                                                                       イメージBGM:

『』シェネル(Che’Nelle) - Believe 

(“イメージとして推奨される楽曲であり、作中使用はありません”)




海里が振り向き、涙を拭う。


「……ありがとう、LUNA」


「まだよ。

 この歌は、みんなで帰るための歌なんだから。」


天逆毎は怒号とともに両腕を広げ、闇の竜巻を発生させた。


すべてを吸い込み、砕き、呑み込む絶望の渦。


レイが叫ぶ。


「このままじゃ……ここ一帯が吹き飛ぶ!!」


海里が震える。


「……どうすれば……!」


その時だった。


誰よりも早く、闇の渦へ向かった者がいた。


──美桜。


「美桜!!?」


海里が叫ぶが、もう止められない。


美桜は胸の奥から赤金の光を放ち始めた。


天照大御神の神威。


しかし、彼女の身体は既に限界だった。

傷だらけで、血も止まらない。


それでも――


「……帰らなきゃ……娘のところに……帰らなきゃ……」


彼女の声は震えながらも、決して折れていなかった。


天逆毎が黒雷を美桜に向けて放つ。


直撃。


大地が爆ぜ、美桜の体が弾き飛ばされる。


血が噴き上がる。


LUNAが悲鳴をあげ、海里が走り出す。


「みおぉぉぉぉぉ!!!!!」


美桜は地面に倒れたまま、震える手で娘の写真を握りしめた。


「……ママ……帰るって……

 約束……したもん……」


天照の光が弱々しく揺れる。


天逆毎が止めを刺そうと、巨大な影を落とす。


その瞬間。


バニーが飛んだ。




バニーの瞳が真紅に光る。


その姿はもう普段の“おかまのバニー”ではなかった。


静かで、強く、美しい。


「……この技、二度と使うつもりなかったけど――

 美桜ちゃんを見殺しにできるほど、薄情じゃないよ。」


胸元に手を当てる。


《魂渡しの口づけ(ソウル・シンク)》


バニーの生命エネルギーが、美桜の心臓へ流れ込む。


美桜が目を開き、光が戻った瞬間――

彼女の中の天照の神威が、爆発するように広がった。


美桜の傷が完全に癒えたわけではない。

しかし“生きる力”が蘇った。


彼女が震える声で言う。


「……ありがとう、バニー……

 必ず……報いる……!」


バニーは微笑む。


「アンタが生きてくれれば、それでいいのさ……

 私はね……誰かの帰る場所を守りたくて、戦ってんの。」


その背中は、誰よりも優しかった。




── 天逆毎 最終討伐


天逆毎が咆哮し、地獄のような黒光を広げる。


だが今、七人は揃っていた。


海里(草薙剣)


LUNA(神歌)


美桜(天照)


蒼真(武神の槍)


虎永(侍奥義)


バニー(魂脈の守護)


レイ(富嶽零式の最後のコード)


レイが叫ぶ。


「7人の神力が揃った……!

 海里!! 今しかない!!」


海里は草薙剣を高く掲げ、涙と怒りの中で叫んだ。


「みんなの力――私に、ちょうだい!」


光が収束し、天空に昇る。


天逆毎が黒雷を放った瞬間。


海里が走る。


その背に、美桜の光が重なる。


蒼真が槍で道を拓く。


虎永が跳び上がり影を断つ。


LUNAの歌が七人を包む。


そして――


草薙剣が“真名”を叫んだ。


《天断・八重霞之太刀あまきり・やえがすみのたち


炎と光が空を割り、


天逆毎の胸部を一直線に斬った。


天逆毎の絶叫。


闇が砕け、崩れ、風に散っていく。


海里が息を吐き、仲間たちはその場に膝から崩れ落ちた。




戦いが終わった静かな空に、

美桜は小さな写真をそっと胸に抱いた。


「……必ず、帰るからね……」


海里が寄り添い、彼女の手を握る。


「美桜さん……大丈夫。

 みんなで帰るんだよ。」


バニーがふらつきながら笑う。


「当たり前でしょ……うちらは……家族みたいなもんなんだから……」


レイが空を見上げる。


「……MIKADOがいなくなった今、守るのは僕らだ。

 でも……必ず、再建する。

 総理が遺した未来を。」


蒼真が拳を握った。


「姉さんのように……誰も、死なせない。」


虎永が黙って刀を鞘に収める。


LUNAが優しく微笑む。


「……この物語は、まだ終わらないね。」


海里は草薙剣を握り、涙を拭った。


「ここからが……新しい世界の始まりだよ。」


空は、ようやく青さを取り戻していった。

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