第4承 第4和【MIKADO】迦楼羅
MIKADO本部──
日本の叡智を極限まで集結させた総合中枢は、
いま静かに、だが確実に“運命の日”を迎えていた。
中央制御室の天井まで届くホログラムには、
「三種神器統合プロトコル:99.8%」の数字が浮かぶ。
草薙剣。
八咫鏡。
八尺瓊勾玉。
その三つが揃う時──
“神々の力は一つの核となり、世界の命脈が安定する”。
**《世界融合の儀》**が、とうとう始まっていた。
世界中が祈りを向ける中で
天皇陛下と皇后は、MIKADO中央ホールにて静かに目を閉じる。
海里、蒼真、LUNA、美桜、バニー、虎永、源蔵、レイ──
残された神承者たちは神器の周囲で輪を形づくり、
それぞれの神力を“柱”のように放ち、三種神器を支える。
「……あと少しです。全世界の祈りが届いています」
鷹宮 澪総理が静かに呟く。
その声に応えるように、
MIKADOの巨大モニターには世界各国からの応援メッセージが届く。
中国、アメリカ、インド、アフリカ、ヨーロッパ。
世界中の民が“日本に託していた”。
「今度こそ、世界を救ってほしい」
しかし──儀の最中、“異常値”が跳ねる
──警報音。
──赤い警告光が制御室を染める。
「な……なんだ!? エネルギー波形が急上昇……!」
レイが叫ぶ。
桐生朔博士が、震える指で卓を叩く。
「外部から……いや、上空から何かが干渉している!」
その瞬間。
MIKADO上空に“黒い太陽”が開いた。
炎。羽。巨大な影。
迦楼羅。
天空を喰らう炎の神鳥── 再臨。
その目は、MIKADOの神器をまっすぐに狙っていた。
迦楼羅、降臨
轟音──!!
上空の雲が裂け、迦楼羅が巨大な咆哮を放つ。
「キエエエエエエエ!!!」
燃え盛る羽ばたきが、富士一帯を赤く染める。
「来たな……!」
海里が拳を握る。
「いや……今来るのがいちばんまずい!」
レイが歯を食いしばる。
三種神器の統合はまだ完了していない。
今、破壊されれば──全世界の運命が瓦解する。
「全員、迎撃態勢!!」
鷹宮総理が叫ぶと、神承者たちは一斉に外部デッキへ走った。
総力戦──MIKADO vs 迦楼羅
外の空は紅蓮だった。
蒼真が槍を構え、虎永が刀を抜き、
LUNAが歌声を響かせ、美桜が光の盾を張り、
バニーが全身の闘気を爆発させ、
源蔵はかつての特攻の如く炎の翼へ突撃する。
海里は──
草薙剣を手に。
「退かないよ。
ここで守れなきゃ……何のために生き残ったの?」
迦楼羅が火柱を降らせる。
蒼真が蒼雷で軌道を逸らす。
バニーが吠えながら突き破る。
源蔵が咆哮しながら炎の中へ。
「MIKADO砲、全門開いて! 一斉射撃!!」
鷹宮総理の命令が飛び、
巨大要塞 MI K A D O の全機関砲が迦楼羅へ照射した。
迦楼羅の羽が砕け、炎が散る。
押している──
みんなで押し返している。
だがその時だった。
MIKADO内部で“爆発”が起きる
轟ッ……!!!
MIKADO内部から、突然、重低音が響いた。
「な……内部爆破!?」
レイが振り向き叫ぶ。
「待て、外部攻撃じゃない……内部からだ!」
桐生博士の声が震える。
続けて二発。
三発。
そして連鎖するように爆発が広がる。
モニターに浮かんだのは、
“裏切り者によるシステム侵入”のログ。
「MIKADOの防御システムが……誰かによって停止されている!?」
レイの顔から血の気が引く。
MIKADO内部に裏切り者がいたのだ。
総理が息を呑む。
「……そんな……!」
迦楼羅の炎がMIKADOに突入
内部爆破により防御フィールドが崩れ──
迦楼羅の炎の翼がその裂け目からMIKADO内部へ侵入する。
「MIKADO内部に火災発生!!」
「各区画で誘爆が連鎖しています!!」
「制御不能!!」
「瓦解まで残り……3分!」
スタッフたちが次々と倒れ、
巨大要塞の内部は地獄と化していく。
天皇陛下と皇后は護衛たちに囲まれて避難し、
鷹宮総理は制御室に残り、最後まで指示を続けた。
「皆さん……落ち着いて行動してください。
天皇陛下を……決して、決してお守りしなさい……!」
鷹宮総理は立ち上がり、震えるスタッフへ言う。
「……MIKADOは、ここで終わらせる。
でも……日本は終わらせない。
君たちの命を……守らせてくれ」
その背中は、総指揮官としての覚悟だった。
神承者たちの絶望の叫び
海里が炎に包まれるMIKADOを見上げた。
「鷹宮総理……逃げて……お願い……!」
蒼真が涙を堪え、牙のように噛みしめる。
「姉さん……!!」
しかし、総理の退避ルートは
爆発によって遮断されていた。
レイが叫ぶ。
「ルートは……もう塞がれた!」
LUNAは声を失い美桜に寄りかかる。
バニーは地面を殴り、源蔵は歯を食いしばる。
虎永は震える手で刀を握る。
「なんで……なんでだよ……!」
海里は、炎に飲まれていくMIKADOを見つめて、
声を振り絞った。
「……MIKADOは……
私たちを守るために……命を賭けて……戦ってくれてるんだ……!」
爆炎が広がる。
MIKADOの巨大構造体が、まるで泣き叫ぶように軋む。
MIKADO大爆発
ついに──
MIKADO中央エネルギーコアが限界に達した。
「皆さん……日本を……未来を……
どうか……守ってください……」
鷹宮総理の最期の声が通信に乗る。
その直後──
白光。
富士山麓一帯を包むほどの巨大爆発。
炎が天を焦がし、轟音が世界を揺るがす。
MIKADO──壊滅。
世界中が、その瞬間を目撃した。
神承者たちは地面に倒れ込み、
海里は声にならない叫びを上げた。
「うわああああああああああああああああ!!!」
涙で視界が滲む。
世界の希望だったMIKADOは──消えた。
それでも、戦いは終わらない
迦楼羅は傷つきながらも空高く舞い上がり、
暗雲の向こうへ姿を消した。
レイが震える声で言う。
「……MIKADOが無い今……
僕らだけが……世界を守る最終防衛だ……」
蒼真が槍を握りしめ、血を滲ませながら答えた。
「姉さんの遺志は……俺たちが継ぐ。
誰が裏切り者でも……必ず突き止める」
LUNAが涙を拭いながら、海里の肩を支える。
美桜は天皇陛下の無事を祈りながら空を見上げた。
虎永が震える声で言う。
「……必ず、勝とう。
誰も、もう……死なせないために……!」
海里はゆっくり立ち上がり、炎の空に向かって呟いた。
「MIKADO……鷹宮総理……
あなたたちの代わりになる。
絶対に、世界を……守るから……!」
その瞳には、燃えるような意志が灯っていた。




