表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/79

第4承 第2和【草薙剣】八握脛(やつかはぎ)・八握髭(やつかひげ)

地の底への降下

― 封印庫への道は、ただ歩くだけでは終わらない ―


MIKADOの特殊エレベーターが降下を始めた瞬間から異常だった。


「海里、息を止めて伏せろ!!」


源蔵が叫ぶと同時に、

地下100m地点で空気が変わった。


重い。湿っているのではなく、

“生き物が呼吸しているような圧力” を帯びた空気。


虎永が眉をひそめる。


「……妖気が濃すぎる。

ここ、本当に日本かよ……」


レイの声が通信に入った。


『モニタリングしてるけど、空間そのものが歪んでる。

地下の地層が“呼吸してる”ように脈打ってるよ』


海里は喉を鳴らした。


(怖くないわけ、ない。

でも──ここで退いたら、誰かが死ぬ)


エレベーターが停止し、

“第一封印層:八握脛区画” の巨大な石門が開く。


冷たい風が吹きつけ、視界が揺れる。


源蔵が刀に手を置いた。


「ここからが本番や。

八握脛は、封印獣の中でも“脚力に特化した殺戮兵器”やで」


虎永が刀を構えた。


「海里さん、すぐ後ろにいてください」


海里は頷き、

草薙剣を奪還する使命を胸に一歩踏み出した。


八握脛やつかはぎ

― “脚の怪物” が織り成す、地震のような猛攻 ―


地下空間は巨大だった。

東京ドームが丸ごと入るような闇の大空間。


海里が小声でつぶやく。


「階段ひとつない……。

こんな広い部屋、何のために……?」


源蔵が答える。


「走り回るためや。

八握脛は脚そのものが本体みたいなもんや。

ここ全体が奴の“殺戮走路”なんやで」


その瞬間。


──バキィィィィン!!


床が割れた。

そこから飛び出したのは 腕ほどの太さの“巨大な脛”。


海里が悲鳴を上げた。


「もう来たの!?早い!!」


虎永が即座に海里を抱えて転がった。


ズドォォォォォンッ!!


脛が床にめり込む衝撃で、

周囲の空間が“衝撃波ごと”揺れた。


レイの通信が入る。


『危ない!八握脛は弾丸より速い!

動きを予測して海里を守って!』


源蔵が吠える。


「予測なんざできるかぁッ!!

こんなもん弾丸どころやない、跳ね回る大地震や!!」


八握脛は壁を蹴り、

天井を蹴り、

床を蹴り──


三次元跳躍で瞬間移動のように襲いかかる。


海里は水盾を展開する。


「流盾!!」


しかし──


ズガァァァァン!!!


水盾が一撃で砕け散った。


海里の身体が吹き飛ばされる。


「か、海里さん!!」


虎永が滑り込み、海里を抱きとめる。


源蔵が歯を食いしばる。


「盾ごと粉砕する脚力……

まさに“脚の怪物”やな」


八握脛は壁を蹴り、空中で“8の字”を描くように軌道を変えた。


多方向同時攻撃。


虎永が叫ぶ。


「海里さん、伏せて!!」


海里は床に伏せる。

八握脛が頭上を通過し、

空気を切り裂く音が“稲妻のように響く”。


レイが通信で続ける。


『八握脛のひび割れを狙って!

ひびは“圧力の逃げ道”だから、そこに衝撃を加えれば弱点になる!』


源蔵は叫んだ。


「言われんでもやったるわァ!!」


源蔵は八握脛の進路に飛び込み、

瞬間に横斬りを放つ。


刀がひび割れに刺さる。


ズシャァァァァ!!


八握脛が苦悶の振動を発し、動きが鈍った。


海里が叫ぶ。


「今です!!」


海里は両手を前に出し、

“超高圧水線” を集中させる。


「水穿槍──すいせんそう!!」


極細の水の槍がひび割れに突き刺さり、

内部から爆ぜた。


ドゴォォォォォン!!!!


八握脛は地面に崩れ落ち、しばらく痙攣したあと──

完全に沈黙した。


海里は膝をつき、肩で息をした。


「はぁ……はぁ……

こんな……こんな怪物、まだいるの……?」


虎永が優しく背中を叩く。


「大丈夫。海里さんの能力、前よりずっと強いです」


源蔵も笑う。


「お前は立派な神承者や。

この先はもっと地獄やけどな」


海里は涙をこらえ、立ち上がった。


「……行こう。絶対に、草薙剣を取り八握髭やつかひげ

― 髭が凶器となり、空間そのものが罠と化す ―


階段を降りきった瞬間、

海里は異様な光景に目を大きくした。


地下空間には、

天井から垂れ下がる無数の黒髭が揺れていた。


虎永が息を呑む。


「全部……怪物の髭……?」


源蔵が頷く。


「八握髭は “髭そのものが主武装” や。

一本一本が“刃物”であり“毒”であり“生物”や」


海里は髭の一本に視線を向けた。


その瞬間──

髭が海里の首に巻き付こうと伸びてきた!


「っ!!」


虎永が即座に刀で弾く。


キンッ!!


だが髭は金属音とともに跳ね返り、

再びしなる。


レイの声が入る。


『髭は金属分を含む生体組織……

ほとんど刃物だよ!直接触れないで!』


海里は両腕を広げて叫ぶ。


「水流結界!!」


全方向に水圧の膜が広がり、

髭の接触を防ぐ。


しかし──


バキィィン!!


髭は“先端が回転しながら”結界を削り始めた。


海里は青ざめた。


「削ってくるの……!?

これ、刃物ってレベルじゃない……」


源蔵が叫ぶ。


「この層全体が“処刑場”や!!

走れ海里!!」


三人は暗い通路を全力で駆け抜けた。

背後から無数の髭が追いかけてくる。


天井、壁、床──

すべてが髭の集合体。


虎永が叫ぶ。


「止まったら終わりです!!

出口まで走り抜ける!!」


海里は水流で床を滑るように走る。


髭が海里の髪をかすめ、

壁を紙のように切り裂く。


(怖い……怖い……!

でも──立ち止まったら殺される!!

みんな死んじゃう!!)


海里は歯を食いしばり、前へ進む。


だが髭の壁が迫り、

通路全体を塞いだ。


虎永が刀を構える。


「海里さん、頭を下げて!!」


虎永の身体がふっと軽く跳んだ。


「燕牙斬!!」


青い軌跡が走り、髭の壁を一瞬だけ切り裂く。


しかしすぐ再生する。


源蔵が刀を逆手に構えた。


「二人とも伏せろォォォ!!」


老兵の全身から気迫が爆発し、

大地を揺らす一撃が放たれる。


「破妖・撃震ッ!!」


通路の髭が“粉砕”される。


海里は叫んだ。


「今!!走って!!!」


三人は一気に走り抜けた。


髭が後ろで“千本の矢”のように突き刺さる。


海里は振り返り、呟いた。


「……終わった……?」


源蔵が息を整える。


「いや……ここからが本番や」


八握髭の本体が姿を現した。


天井に貼り付いた巨大な“髭の塊”。

ぐにゃりと目を開き、三人を見下ろす。


虎永が青ざめる。


「あれが……本体……」


源蔵が叫ぶ。


「海里、ひび割れを探せ!!

奴も八握脛と同じ、ひびが弱点や!!」


海里は水流で視界をクリアにしながら目を凝らす。


(どこ……どこ……!?

ひびが必ずある……)


見つけた。


本体の中心──

“髭が束になっている根元”が、わずかにひび割れている。


「虎永くん、あそこ!!」


「行きます!!」


虎永が跳ぶ。

だが八握髭の本体が無数の“刃の髭”を放射状に放つ。


源蔵が飛び込んだ。


「虎永を通さんかぁッ!!!」


源蔵が全身で髭の雨を弾き続ける。


虎永の刀がひび割れに届く。


海里が叫ぶ。


「水穿槍・三連!!」


三本の水の槍がひびに突き刺さり──


ドゴォォン!!!


八握髭が悲鳴をあげて崩れ落ちる。


本体が瓦解し、

髭が砂のように散っていった。


海里はその場に座り込んだ。


「……終わった……?」


源蔵が微笑む。


「終わったで。

これで、草薙剣は目の前や」


虎永も微笑んだ。


「海里さん、すごかったです」


海里は涙を拭きながら立ち上がる。


「……行こう。

草薙剣を……取り返そう」


草薙剣の間


長い通路を抜けた先、

神々しい光が三人を包む。


中央に──

静かに眠る 草薙剣。


海里が一歩近づいた瞬間、

剣が淡く光る。


虎永が呟いた。


「海里さん……選ばれてます……」


源蔵も頷く。


「この剣は……お前が持つ者や」


海里は両手で剣を包むように掴み──

ゆっくりと引き抜いた。


光が海里を包み、

三人は確信した。


草薙剣 奪取。

反撃の準備は整った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ