第4承 第1和【3種の神器】
――雷の邪神・䨺彦 撃破の翌日。
本部【MIKADO】は、勝利の安堵よりも、
“次に来る未知の脅威”を前に、かつてない緊張に包まれていた。
司令室では、
総司令官・鷹宮 澪総理が静かに立っていた。
額にかいた汗を拭うこともせず、
ただ前だけを見つめている。
その視線の先――
世界最高頭脳が揃った【神器探索班】が動き始めていた。
◆《神器探索班・発足》
机を叩いたのは、
物理量子学の第一人者 桐生 朔博士だった。
「……結論から言う。
次の邪神は“物理法則”では読み解けない。
だからこそ――古代神器の力が必要なんだ。」
レイが眉をひそめる。
「草薙剣と八咫鏡……現存しないはずの二種の神器。
どこにあると?」
桐生博士は、無言で壁面スクリーンを操作した。
瞬間、ホログラムが空中に浮かび上がる。
──《富嶽零式》起動。
三種の神器の位置予測、同期開始。
澪が息を呑む。
「富嶽零式……本当に使うのですね」
「人間の力には限界がある。
だが限界を使い切った“その先”だけが、神域につながる。」
桐生はそう言って、コンソールに手を置いた。
◆《人間の力が限界を越える瞬間》
富嶽零式は稼働とともに、冷却層が蒸気に包まれた。
「……うそ、出力が上がらない!」
スタッフが叫ぶ。
「三種の神器の干渉波が強すぎる……。
人間の計算能力では追いつけない!」
「全員、演算補助!
手動でアルゴリズムを書き換える!!」
レイが怒鳴った。
スタッフたちは指が血がにじむほどキーボードを叩き、
朔博士も白衣を脱ぎ捨て、汗だくで式を書き続けた。
その時――
後方から、霊能者 **糸**が歩み寄る。
静かな声で言った。
「……あなたたちには“見えない波”がある。
霊の痕跡。
それを感じ取るのが、私の役目。」
糸は富嶽零式の端末に指を添えた。
すると演算の乱流がすっと整い始めた。
桐生が驚き、つぶやく。
「霊能と量子演算が……同期した?
こんなことがあり得るのか……?」
糸は微笑んだ。
「あり得ないことを起こすのが……人間です。」
◆《草薙剣:発見》
富嶽零式が震えた。
ホログラムが光を放ち、場所が一つだけ明滅する。
──“伊勢・倭姫宮 地下に眠る封印庫”。
レイがデータを読み、顔色を変える。
「まさか……国家未公開の古代層に、
もう一つの封印庫が……?」
澪は低く言った。
「日本は、神器とともに歩んできた。
我々の知らぬ歴史があったとしても……不思議ではない。」
糸が指を震わせながら言葉を続けた。
「感じる……“炎と風の二重の封印”。
これは迦具土ではない。
もっと古い……“創世の刀”。」
草薙剣――発見。
◆《八咫鏡:出現》
しかし富嶽零式の演算はそこで終わらなかった。
青白い光を放ちながら、
空中ホログラムに“二つ目の座標”が浮かび上がる。
──“軌道上廃棄衛星 No.88 内部”。
八咫鏡の反射神力を検知。
レイが目を見開く。
「宇宙に……?
八咫鏡を宇宙に運んだのは……誰だ?」
澪は即答しなかった。
代わりに息を長く吐き、重々しく言う。
「……オメガです。
だが真相は伏せたままにしておきましょう。」
バニーが珍しく真面目な声で言った。
「つまり……
人間の手でさえ神器を扱えない。
だから宇宙に封じた……そういうことよね。」
LUNAは両手を握りしめた。
「でも……私たちは見つけた。
人間の力で。」
朔博士が語る。
「奇跡ではない。
ただ人間が“限界まで賢くなっただけ”だ。」
◆◆《MIKADO:総司令官の涙》
発見の瞬間。
いつも冷静な鷹宮 澪総理が、
静かに目元を押さえた。
「……皆さん。
ありがとう。
あなたたちの努力が……この国を救います。」
海里が澪に近づき、短く言った。
「総理……私たちは、まだ戦えます。」
澪は海里を見つめて頷いた。
「あなたたちは神承者。
だが、救っているのは“人間の未来”です。
誇りなさい。」
糸、レイ、朔博士、神承者たち、鷹宮総理、ここにいるすべての全員の目から涙が零れ落ちていた。




