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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第1承 第2和【目覚め】

島根の光柱が消えた翌朝――

世界はまだ眠っていたが、

“何かの目覚め”だけが先に訪れていた。


それは風の温度、太陽の白さ、鳥の飛ぶ軌道。

どれもほんのわずかな違いにすぎない。

だが敏い者だけが気づく。

昨日までの世界とは、確かにどこかが違う、と。                                                 

                                                                             夜が明け、日差しが街を満たし始めた頃、東京の街角には普段どおりの雑踏が広がっていた。

だが、その雑踏の奥底には、昨日とは異なる空気が漂っていた。

何かが、確かに動き始めている――そんな気配。


海里は登校途中のバスの中でも落ち着かない。

手の甲の薄い熱はまだ残っており、視界の端で光が揺れるような感覚があった。

「……また、呼ばれている……?」


クラスメイトの笑い声が遠くに聞こえる。

でも海里はそれに応えられなかった。

胸の奥に、何かがざわつき、引き裂かれるような感覚があった。


同じ時間、地方都市のコンビニ。

早朝シフトの青年、蒼真はレジに立ちながら商品を整えていた。

手の甲の光が再び脈打つ。

視線を上げると、遠くに同じ光を帯びた人影があるような気がした。

「……世界中で、何かが起こっているのか?」


住宅街の美桜は、娘を学校へ送り出すと同時に自宅の窓から外を眺めた。

手の甲の光は消えていなかった。

「大丈夫……何かが、私を見ているの……?」

言葉にすることはできない。

胸の奥が不安に押しつぶされそうになる。


東京ドーム。

LUNAはドームの舞台でリハーサルを続けながらも、感覚が研ぎ澄まされている。

手の甲の光が微かに揺れ、耳の奥で遠くの音が増幅されるような感覚があった。

「……誰かが、私を呼んでいる……?」

その声は舞台の外でも、人の中でもなく、世界の奥から響いているようだった。


アメリカ・トレーニング施設。

ジェイデンはトラックのスタートラインに立ち、深呼吸した。

視界の端に何か光るものが見え、手の甲の紋様が強く脈打った。

「This light… Why now?」

走ることも、止まることもできないような、決定的な呼び声。

彼は力強く拳を握った。


日本国内の独房。

無期懲役囚・黒城は、暗い部屋で目を覚ました。

手の甲は明確に光り、床や壁に影を映し出している。

「……やはり、俺だけじゃなかったか」

独房の鉄扉を通して響く低い振動は、他の囚人には届かない。

だが黒城には届く。

世界中の“選ばれた者たち”が、同じ波長で繋がり始めていることを、彼は知っていた。


東京・総理官邸。

鷹宮澪は各省庁の報告書に目を通していた。

昨日の島根での光柱は消えたが、解析は進んでいなかった。

「富嶽零式の結果は?」

科学顧問が小声で答える。

「神域波長に同調する人間が世界規模で現れ始めています……」


鷹宮は深く息をつき、決意を固める。

「わかった。まずは彼らを守る手を考える。被害を最小にするために……」

その言葉は静かだが、鋭い光を帯びていた。


海里は学校の屋上で、再び手の甲の光を感じた。

薄い紋様は、昨日よりはっきりと浮かび上がり、まるで“導くように”形を変えていた。

心の奥で誰かが呼んでいる――

声ではなく、確かな存在感として。


「……私が、やるの……?」


小さな声が風に消される。

でも、胸の奥の震えは止まらない。


世界中で光る紋様は、まだ誰もその意味を理解していない。

ただひとつ確かなのは――

日いずる国で起きた異変と、手の甲に刻まれた光を持つ者たちは、必ず交わる運命にあるということ。


朝の光が校舎の屋上に当たる。

海里の影が、静かに長く伸びた。

その影の先に、未知なる戦いの足音が、確かに聞こえた。

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