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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第2承 第10和 【受け継ぎし魂】

富士の樹海を裂くように、風が逆巻いた。


転送陣の光は歪み、まるで天空が引き裂かれるように悲鳴を上げている。


その中心へ、

鷹宮総理が乗るヘリが突入していった。


糸の霊力が、激しく揺れる空気の中で軋むように震えている。


「……近い……! すぐそこに……!」


少女の声は震えていた。

息を吸うたび胸が苦しくなる。

転送妨害の影響は、彼女にも及んでいた。


ヘリの窓の外、白い霧が海のようにうねり、

ついに “奴” が姿を現した。


『……きこえるぞ……すべての声が……』


樹海全体が、山彦の声で“響いた”。


霧がせり上がり、天を覆うほどの巨大な影が形を成す。

それは人型とも獣ともつかぬ、不定形の怪物。


異様に長く、裂けたような口がひらいた。


『おまえらの声……全部……のむぞ……』


糸が震える声で叫ぶ。


「総理……! 本体の核が出てきます……!

 けど……近づきすぎると“声を奪われる”……!」


「いいわ。奪わせはしない。」


鷹宮は木箱の組紐を解いた。


箱の奥で、八尺瓊勾玉が深紅に脈動した。


霧の巨体が咆哮する。


『その光……消せェェ……ッ!!』


瞬間、無数の霧の触手が空を切り裂き、ヘリに襲いかかる。


操縦士「総理! 回避します!」


だが触手は音速を超えて伸びてきた。

鷹宮は前へ踏み出し、木箱を開く。


赤い光が炸裂した。


八尺瓊勾玉の光が、樹海全体を真昼のように照らし出す。


その瞬間、山彦の霧が蒸気のように弾け飛んだ。


『あぁああああああああああああッッ!』


「効いてる……! 総理! もっと光を!」


「ええ──これで終わらせる!」


勾玉の光は濃く、強く、熱を帯びる。

糸は窓に額を押しつけるようにして叫ぶ。


「総理! 核は……核はどこ!?」


霧の奥。

黒い一点が脈動していた。


糸「──あそこ!! 霧の中心です!」


鷹宮は勾玉を両手で掲げた。


次の瞬間、八尺瓊勾玉は

光の帯を一本の“矢”のように放った。


霧が割れた。


裂けた空間の奥で、黒い魂核が露わになった。


山彦『やめろぉおおおお!!! こえを……こえをよこせ……!!』


霧の触手が総理へ伸びる。

だが、その前に──糸が立ちふさがった。


「総理には触らせない……!

 私は……このために選ばれたんだ!!」


触手の衝撃が糸の身体を吹き飛ばす。


鷹宮「糸!!」


だが糸は必死に立ち上がった。


鼻血を流し、震えながら、それでも前を見ていた。


「総理……撃って……!

 あれを壊せるのは……八尺瓊勾玉だけ……!」


鷹宮の瞳に決意が宿る。


「受け継ぎし魂よ──ここに集え。」


総理の祈りに呼応し、勾玉が紅蓮に燃え上がる。


「日本の声を……返しなさいッ!!」


渾身の力で勾玉を突き出す。


光の奔流が黒い核へ一直線に走る。


山彦『あああああああああああ!!!

   やめろ……やめろォォォォォ!!!』


魂核が砕けた。


あたり一面に、静寂が落ちた。


霧の巨体はゆっくりと崩れ落ち、

最後の声を残して消えていった。


『……ありがとう……たすけてくれて……』


それは、ただの反響として生まれ、

孤独にさまよっていた“声”の呟きだった。


樹海を包んでいた黒霧が完全に晴れた。


MIKADO司令部では富嶽が叫ぶ。


富嶽『転送妨害解除!!

   神承者の光路が、復旧しました!!』


司令部に歓声が湧き上がる。


反転するように、転送陣の光が鮮烈に輝き──


ついに。


神承者全員の身体が、光柱に包まれた。


海里の身体が最も強く輝き、

彼女は空を見上げ、小さく呟いた。


「……みんな……行こう……高天原へ。」


光柱が天へ伸びた。


神承者たちが、

夜空を裂いて──

高天原へ、転送された。


日本中が、その光景に震えた。


世界中が、祈った。


そして物語は、次の承へ進む──。

第2承 完結

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