第2承 第6和 【覚悟】
各地で祈りの声が溢れ始めたその時――。
富士樹海・地下施設の控室。
主人公・**海里**は、ひとり小さなモニターの前に立っていた。
画面には、避難所から中継を見守る
彼女の 祖父と祖母 の姿が映っている。
海里は震える手でスイッチを押した。
モニター越しに、祖父母の顔が大きく映し出される。
その優しい顔に触れた瞬間、
胸の奥に押し込んでいた涙があふれそうになった。
海里は一度だけ深呼吸し、笑顔を作る。
震えた声で、しかしはっきりと語り始めた。
「おじいちゃん、おばあちゃん……聞こえる?」
祖母が涙を浮かべて頷いた。
祖父は口を押さえ、ただ必死に目を見開いている。
海里は続ける。
「私ね、怖くないって言ったら嘘になるよ。」
「でも……
幼い頃にパパとママがいなくなって、
泣いてばっかりだった私を助けてくれたのは――」
海里はモニターに手を添える。
**「おじいちゃんとおばあちゃん。
ふたりが、私の全部だった。」**
「一緒にご飯を食べたことも、
おばあちゃんのおにぎりも、
おじいちゃんの自転車の後ろに乗ったことも、
全部、全部、宝物だよ。」
祖母が溢れる涙を拭う。
海里の声は震えているのに、なぜか強かった。
「でも、ここで終わりじゃないから。」
「私たちの“幸せだった時間”はね、
これからも続くの。終わらないの。」
胸に手を当て、
海里はゆっくり、ゆっくり言葉を紡ぐ。
**「私だけじゃない。
世界中の人が、幸せに暮らせるこの時代を――
私が守ってくる。」**
祖父が泣きながら、
伸ばした手で画面を撫でる。
海里は笑った。
大粒の涙をこぼしながら、
誰よりも強い少女の笑顔だった。
「大好きだよ、おじいちゃん、おばあちゃん。」
「だからね……
待ってて。必ず家に帰るから。」
「最高の笑顔で――
ただいま って言いに帰ってくるからね。」
モニターが消える。
静かな控室に、
海里は涙をひとつ落とし、ゆっくりと背筋を伸ばした。
そして振り返る。
そこには、
次々と重い覚悟を背負いながら立ち上がる――
神承者たちの姿があった。
海里はその中心へと歩み出した。
すべてを守るために。




