第2承 第4和 【さらなる神承者】
富士の樹海へ向かう選ばれし者たち。その波紋は世界中に広がり、まだ姿を見せていなかった神承者たちの物語が、静かに動き始めていた。
元特攻隊の老人 ― 最後の飛翔
地方の古い病院。寝たきりの老人・天城源蔵の手の甲に、強い赤白の輝きが現れた。
「じいちゃん、それ……」
驚く孫の手を、源蔵は震える手で握った。
「わしは、もう一度……飛ばんといかん。」
老人は第二次世界大戦の元特攻隊員。
戦友たちは皆、国のためと散っていった。
自分だけ、特攻直前に主翼を撃たれ海へ落ち、生き残ってしまった。
捕虜となり、終戦を迎えた源蔵は、戦友に申し訳なさで死を選ぼうとした。
だがその夜――。
夢に現れた戦友たちは、笑って言った。
『お前は生きて、日本を守れ』
その言葉を胸に、彼は戦後、政界へ進み“日本政府の影の黒幕”として国を支えてきた。
「ジイちゃん……行くの?」
「行かせてくれ。今度は――国も、未来も、必ず守る。」
病院を抜け出した源蔵と孫は、特殊公安に保護され、富士の施設へと送られる。
老人の瞳は、かつて空を駆けた若き日の光を取り戻していた。
新宿二丁目の女番長 ― 生き様で魅せる人
新宿二丁目のバー「女王バニー」。
華やかな店内で、今日もママ・麗子は濃い化粧を纏って笑っていた。
化粧を落とせば、ただの中年男性。
しかし化粧をすれば、とんでもない美しさを放つ、不思議な魔性の持ち主。
誰より情に厚く、仲間たちに慕われる「二丁目の女番長」だった。
そんな麗子の手にも、光が浮かび上がった。
「ママ、それ……やばいやつじゃん……!」
「はあ? 神様に選ばれたんだか知らないけどさ……」
鏡に映る光を見つめ、麗子はふと微笑む。
「行くしかないでしょう。アタシの生き様、見せてやるわよ。」
仲間たちは泣きながら見送った。
「ママ、帰ってきてよ!」「絶対負けるなよ!」
麗子はハイヒールを脱ぎ捨て、素の足でタクシーに乗り込む。
「待ちなさいよ、世界。アタシがテコ入れしてやる。」
ハッカー少年 ― 情報を暴いた天才
SNSとテレビの同時速報。
“神承者の素性が一部流出”
その裏には、ひとりの少年の存在があった。
ネットの裏社会で名を馳せた天才ハッカー・レイ。
端末の前でピザを齧りながら、ぽつりと呟いた。
「政府、セキュリティ甘すぎ。……ああ、これだからハッキングはやめらんねえ。」
その瞬間、彼の手の甲にも紋様が赤白に輝く。
「え……俺も? ……ハッキングされたのは俺の方かよ。」
レイは苦笑しながら政府の緊急窓口にメールを送る。
“迎えに来い。神承者その8、俺だ。”
小学5年生の侍の卵 ― 新陰流の魂
地方の剣術道場。
小学5年生の少年・虎永の手に神承が浮かび上がる。
それを見つけた姉は叫ぶ。
「隠しなさい! 大変なことになる!」
しかし虎永はまっすぐに両親へ見せに行った。
父も母も、新陰流の剣道場を営む武士の家系。
父は少年の目を見て言った。
「虎永、武士道とは、己を律し、弱きを助ける心だ。」
「……はい。」
父は家宝の刀の鍔を取り出し、少年に託した。
「行け。これはお前の覚悟だ。」
虎永は涙をこらえ、深く頭を下げ、家を飛び出した。
幼きも、志高きサムライが、ついに動き出した。
そして――世間を震わせた報道
その頃、テレビ局の特番。
リポーターが緊迫した声で叫ぶ。
「速報です! 国家最高警戒の刑務所から……
無期懲役の男が神承者として、特殊部隊の護送で富士へ向かったと――!」
スタジオは混乱。
コメンテーターは怒号を上げ、SNSは瞬時に炎上した。
“なんで犯罪者が!?”
“冗談だろ、国が狂ったか!”
だが、その男の過去に何があるのかは、まだ誰も知らなかった。
そして、すべての神承者が集う時…
世界が混乱に包まれる中、富士の地下施設。
政府も国民も、世界中が固唾を呑む状況へと追い込まれていた。
そんな中――。
天皇陛下は深い決意を胸に、ついに生中継で世界に語りかけることになる。




