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神様誕生 ―神承者たちの覚醒―  作者: konatsu


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第1承 第1和【日いづる国】

日本海に面した静かな県――島根。

朝霧の中に浮かぶ出雲大社には、いつものように参拝客が並び、

老舗和菓子店の暖簾はゆっくり風に揺れていた。


しかしその裏で、気象庁と防衛省のセンサーが“異常値”を検出し続けていた。

地震波でも、火山性ガスでもない。

もっと古い、太古の“脈動”に近かった。


誰もがまだ、それが人類史上最大の異変の始まりとは知らない。


出雲大社から少し離れた高校の帰り道。

主人公の女子高生・海里かいり


「……まただ。

この震え……地震じゃない」


友人は笑う。


「気にしすぎだって。海里、昔から勘が鋭すぎるんだよ」


だが海里だけは感じていた。

これは“地面”ではなく、空気が震えている――と。


胸の奥にざらりとした違和感が残った。


その夜、海里は眠れなかった。


翌朝。

島根県庁では、緊急防災会議が開かれていた。


地図の一点が、朝から赤く点滅している。


「地下の圧力値が……高すぎる。通常の13倍だと!?」


「地震前兆でも、火山活動でも説明できんぞ」


古参の専門官が小さく呟いた。


「まるで……封じ込めていた“何か”が動き出したような……」


その言葉に職員たちは凍りつく。


だが、知事はすぐに決断した。


「島根全域に“段階的避難”を発令する!

理由は“地殻異常”とする。パニックは避けろ!」


その判断が、後に“数十万人の命を救った決断”と呼ばれることになる。


だがその時、県庁の誰も――

出雲の地下に眠る“あれ”の正体を知らなかった。


夕暮れ。

出雲大社の参道に、観光客がいなくなっていく。


避難指示を受けたためだ。


海里は、胸騒ぎに逆らえず神社へ歩いていた。


そこで見た。


地面に入った一本の細い亀裂――

そこから、蒼白い光が漏れている。


「……何、これ」


風が止み、世界が一瞬だけ無音になった。


次の瞬間。


ゴオォォォォォォッッッ!!


凄まじい光柱が天へ突き抜け、神域を震わせた。


島根県全域に緊急警報が鳴り響いた。


海里はその場に立ち尽くした。


“何か”が開いてしまった……


そう確信した。


東京・総理官邸。


日本最年少の女性総理・**鷹宮たかみや みお**は

モニターに映る島根の光柱を凝視していた。


「……これは自然現象ではありませんね」


科学顧問が震える声で頷く。


「はい。日本古代の記録――“神話”にある封印の形式に一致します。

現代科学では説明不可能です」


鷹宮は即座に命じた。


「島根県の全住民を安全地域へ移送。

自衛隊は“被害ゼロ”を最優先とする。

理由は公表しません――国民を不必要に恐れさせるな」


静かだが、力強い声だった。


その判断は、後の“国民が選んだ日本史上最高の采配”と呼ばれた。


同じころ――

出雲の地中深く。


“封印の下の存在”が目を覚ます。


ドロリ……ドロリ……


古代の鎖が解け、粘土のような物質が蠢き出す。


その中心に、“人の形をした影”が浮かぶ。


影は呟いた。


「やっと……開いたか」


それは、何千年も前に封じられた“呪術者の怨念”。


「次は……神承者しんしょうしゃを……探す……

……皆揃えば、封印は完全に……」


影はゆっくり地表へ向かい始めた。


富士山の麓。

国家最高機密地下施設《MIKADO》。


そこでは、世界最先端コンピュータ

富嶽零式ふがく・ぜろしき

が静かに回転していた。


研究員が震えながら報告する。


「量子スキャンの結果……

島根の光柱は“神域波長”に近い。

零式なら解析可能です」


「だが、入力するのは普通の人間じゃ無理だ。

必要なのは――“神域と人間域、両方を感知できる頭脳”」


室内の空気が凍る。


研究室の扉が静かに開いた。


白いコートの青年と、髪を束ねた少女が現れた。


物理量子学の天才・桐生きりゅう さく

そして霊感を持つ少女・いと


この二人こそ――

いずれ“神承者” を導く鍵となる存在。


「僕たちが……行きます」


「神域の波長を、人間の世界に繋げる。それが……私たちの役目」


研究員たちが息を飲む。


富嶽零式のライトがゆっくりと強くなっていく。


■7 世界を揺らす第一歩


同時刻、島根の海岸線。


避難を終えた静かな海に、

巨大な竜のような影が一瞬浮かび上がる。


細長い首――

八つに分かれた尾――

唸るような波――


海里が見た。


「……ウソ……神話の……本物……?」


光柱は空へと伸び、

やがて夜空を裂いて消えた。


島根は守られた。

だが――


“封印は完全に解けた”


世界の運命は、静かに動き出していた。その瞬間、海里はまだ知らなかった。

昨日まで平凡だった彼女の世界が、

今日から“選ばれた者の世界”へと変わっていくことを。


そしてこの国のどこかで――

彼女と同じ“ざわめき”を抱く者たちが、

静かに目覚め始めていることを。

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