↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
引退済みの元最強探索者、暇を持て余しチュートリアルおじさんとなる  作者: 三田 白兎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/15

12話 才能

「いいか? 俺たちは今からあの森に入る」


 二人は階段を下りて四階層へと足を踏み入れた。

 階段の周辺はこれまでと同じく草原だが、ユージが指差した方角に進むと森がある。


「奥に見えるやつだよね?」

「あぁ」

「分かった。そこで私は何をすれば良いの?」


 ダンジョンに入ってからここに至るまでユージから何も教わっていない。

 ミユは自身の役割を一切把握していなかった。


「まずはスライムを十体ほど倒してもらう」


 ユージはマサトに指導していたときと同様に、スライムを倒して魔力を取り込ませるつもりである。一階層でさせなかった理由は四階層の草原にもスライムは生息しているからだ。


「い、いきなり私なんかにできるのかな?」


 ミユはまだ中学生。

 いきなり魔物を倒せと言われてそのまま実行に移せるわけがない。

 本人もそれを理解しているが故に不安そうな表情だった。


「スライムは一般人でも勝てる最弱の魔物だ。ミユがよっぽどどんくさくなければ負けることはない」


 下手に励ましたりすることはせずに事実のみを述べる。


「私、体育得意じゃないよ? 五段階評価で三だよ?」

「どうにかなる。それに万が一何かがあったとしても守ってやれる距離にいるから安心しろ。まっ、スライムの攻撃なんて生身で受けたとしても精々打撲する程度だ」

「打撲程度って、十分痛いよ。でも……分かった。守ってくれるならやってみる」


 一歩前を常に歩いてくれているユージがそう言うのならがんばってみよう。ミユはそう思い魔物と戦うことを決めた。


「――――ミユ、スライムがいたぞ」


 標的を見つけたユージが敵の位置を知らせる。

 一階層同様、草原エリアに生息するスライムはすぐに見つけることができた。緑の草の中に水色の体は隠せていない。


「かわいいかも?」


 しずく型の水色生命体。

 顔がないためゲームなどに出てくるスライムと比べると愛らしさは減っているが、刺さる人には刺さる見た目をしている。どうやらミユには刺さったらしい。


「魔物の外見に惑わされるな。スライムだからどうってことはないが、別の魔物だと一瞬で殺されるぞ」


 忠告するユージの脳裏にはマサトの幼馴染の女子高生マリの姿が浮かんでいる。彼女は殺されてはいないものの、角で腕を貫かれて気絶してしまっていた。ミユには絶対にそうなって欲しくない。


「ごめんなさい」

「……まぁ、同じミスを二度しなければ良い。じゃあ、早速その杖でスライムを叩いてみろ」

「はい!」


 ユージから強めに指摘されてシュンっとしていたミユだが、次の指示が出ると真面目な表情へと切り替わる。

 そして母から受け継いだ紫の宝石が先端にはめ込まれている杖をスライムへと振るう。


 べちゃ、っと気持ちの悪い音を立てたスライムは一切動かなくなる。


「これでいいのかな?」


 スライム討伐が思っていた以上に簡単だったからか、不思議そうな顔で首を傾げた。


「えっ、消えちゃった!?」


 ああ。とユージが答える前にスライムが光となり消えていく。

 ダンジョン内にいる魔物は倒されるとこうなるということは探索者にとっては常識。だが、ただの女子中学生であるミユは全く知らない。初めて目撃する不思議な現象に目を見開いた。


「今の光を見るまでは安心しない方がいい。強い魔物になってくるとやられたふりをする奴も出てくるからな」


 以降、ミユは次々とユージが見つけたスライムを叩き潰していく。一度魔物を倒したことで恐怖が取り払われたようだ。最終的にもぐらたたきみたいで楽しいと言い始める始末である。


 そしてスライムを十体程度倒した頃。ミユは自ら体の変化に気づいた。


「ユージさん、体の内側がポカポカするっていうか。温かい感じがあるんだけど、これって何?」


 教わってもいないのに、己備わった魔力を感知できている。

 流石は上級ダンジョンをソロで練り歩く<千霊の先導者>大里京子の娘だ。死霊術の才はもちろんのこと、魔力を感知する能力にも長けているらしい。


 ユージはミユの持ち合わせた素養に感心しつつ、マサトのとき同様に説明をする。


「……これが魔力なんだ。不思議だけどおもしろいね」


 話を一通り聞いたミユは魔力で遊び始める。


「無属性魔法を説明なしで使い始めるのか……」


 ミユの遊びはまさしく無属性魔法による肉体強化のそれと同じだ。

 説明なしでそれを成してしまう姿を見て、ユージは再び感心する。


「よし、見たところ魔力の操作は大丈夫そうだ」


 拙くとも無属性魔法を使えれば新人としては十分である。

 そのためユージは四階層まできた本来の目的を果たそうと考えた。


「――――そろそろ次の段階へ移ろう」


 ユージが次と口にしたため、ミユは魔力の操作をやめる。どこか楽し気だった顔も今はきりっと引き締まった表情になっていた。敏い彼女はここからが本番であると察したのである。


「魔力の扱いの次は魔法だよね?」

「あぁ。母親と同じ魔法、死霊術を使ってもらう。作戦を説明するから聞き逃すなよ」


 初の死霊術の行使とそこへ至るまでの工程。ユージから作戦を聞いてしっかりと理解したミユは、少し緊張しながら森へと入っていくのだった。




読んでいただきありがとうございます。

よければ、ブックマークや下の☆☆☆☆☆で評価をつけてもらえると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。