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司祭様ブラックジョーク

作者: ナカタサン

擦り切れたぼろぼろの服をまとった若い女が司祭の前でひざまずき罪の告白をおこなっていた。


「司祭様、わたくしの神への信仰は揺らいでしまいました。

 毎日の礼拝を欠かしたことはなく、聖典の言葉に従って日々を懸命に生きてきたというのに、わたくしの生活は苦しくその日の糧にも事欠くありさま。

 なぜ神はわたくしにこのような仕打ちを与えるのでしょう。」


目を閉じてうなずきながら聞いていた司祭は、厚い聖典を開き女を諭すような優しげな声で告げた。


「聖典にはヨハンという財や家族に恵まれた信心深い男の話が登場します。

 ある日悪魔サマエルが神に『彼の者が信心深いのは全て満ち足りているからだ、それらを失えば信仰も失われるに違いない。』とうそぶきました。

 神は『ならば試してみよ、彼の者の命を奪わぬ限り如何なる事をしてもよい。』と静かに告げます。

 それを受けた悪魔はヨハンの家族を無残に殺しつくし、財を焼き、彼自身を酷い病で蝕みました。

 すべてを失ったヨハンでしたが神への信仰は揺らぎませんでした。そしてすべての災厄を乗り越えたヨハンは神から以前にも勝る財や家族が与えられたのです。」


女は顔をあげると希望を見出したように司祭に問うた。


「わたくしも揺らぎなき信仰を持てばヨハンのように救われるのでしょうか?」


「それは分かりません。

 しかし神への揺るぎなき信仰は確実にあなたの心を何物にも負けぬ強いものにし、私に日々の糧を与えてくださります。

 信仰に裏打ちされた強い心はあなたに降りかかる如何なる苦難をも跳ね除け、人生に平穏をもたらすでしょう。」


女は雷に打たれたように神への祈りを捧げ始め、司祭はその肩にそっと触れて厳かに告げた。


「あなたの罪は許された。懺悔は成されました、喜捨は銀貨1枚となります。」

四部?知らない人ですね。

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