第2話
「舞原佑月様ですね。こちらへどうぞ」
「あ、はい」
土曜日になり、Spade Clubの本社へと向かった。なぜ10時からなのか...そのせいで部活を休む羽目になってしまった。
そんなことを考えているうちに会議室3と書かれた場所に連れてこられた。
「私は舞原様のマネージャーを務めさせていただきます、暁夜あかつきよると申します」
「え?め、面接じゃないんですか?」
俺は面接と聞いてきたのだが?
「あれ、お姉さまからお聞きでないですか?」
「いえ...なにも聞いていません」
姉さん...
「そもそも、面接しないで合格させていいんですか?」
「本当は良くないんですが、まあお姉さんを抜いたら4人から推薦があったのでそんだけあるならいけるかなと」
「4人?」
俺姉さん以外のVtuberの方知らないんだが。
「というか、お姉さんはそんな乗り気じゃなかったんですよね。最終的に渋々みたいな」
「ちょっと待ってください。先にその4人っていうのが誰か教えてください」
「あ~...ちょっとお待ちください」
そういっておもむろにスマホを取り出した。この人本当に社会人なのか?というレベルで話が通じないのと顔が幼い。俺と同じくらいの年齢に見える。
「この人たちです」
そういって指さした人は知っている人だった。3人は姉さんの友人でよく家に酔って来る。普通に大学の友達かと思ってた。
もう一人は...学校のマドンナ、風間彩さんだった。
「あっ..えっ...」
陰キャっぽい声が出てしまった。
そりゃ困惑するだろ。風間さんは学校でも人気があってすごい活発な女子だったから。一応同じ吹奏楽部で面識はあったが、少ししか喋ったことはなかった。
「まぁ、4人はけっこう先見の明がいいのでね、特別通過した感じになりました」
「そうなんですね...」
これはびっくり。
「じゃあ次に契約書とかにサインしてください」
「わかりました~...」
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「あれ、舞原は?」
部活の中で一番若い山川先生が仰った。すかさず私は言った。
「佑月くんなら家の用事で休むって言ってましたよ~」
「そうか。風間ありがとう」
マネージャーさんから聞いたが、今日佑月くんは契約するらしい。私の推薦のおかげだ。ふふふふふ。
どんなキャラになるのかな。佑月くんはかわいらしいしかわいいキャラになるのかな。でもかっこよくてもいいかも...
「風間?おーい」
「あっはい!すみません!」
「風間が考え事なんて珍しいな。それでなんだが―――」
正直言ってこの山川先生、結構嫌いだ。ずっと佑月くんに付いている。私が最初に目を付けていたのに。2年から入ってきたくせに。この教師は。
今彼氏がいないからって佑月くんを狙うなよ。
少し言葉が荒くなってしまったが、本心なのでしょうがない。
明日の部活、楽しみだなぁ!