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㊴契約成立


 ヤギハシさんとシンシアちゃんは、互いの手を握り合って心配そうにこちらを見つめている。


それは、そうだろう。


正面きって、悪魔侯爵に喧嘩をうっているのも同然だ。


少し冷静になったのかアスタロト様は、黙ってわたしを見つめている。


「魂を売ってまで、なにを望む」


静かな声だった。


あの大好きな落ちついたバリトンボイスが、耳に心地がいい。


「悪魔になりたいです」


「……復讐のためか」


「違います」


こちらをむき直り、静かに問われた。


「ならば、強さを手に入れ、自由に生きるためか?」


かつては


「そうでしたわ」


「でした?」


アスタロト様はわたしの横とたわるベッドに一歩、近づいた。


「ええ、アスタロト。昔はね。でも今のわたしには夢があるの、かなえたい夢が」


「夢?ほう、聞かせてもらおう」


二歩さらにこちらへ戻ってこられた。


「今は、ダメよ」


「フッ、無駄なこと……」


アスタロト様の顔色が、曇った。


「あなたに考えを読まれないように、朝食の卵料理をなんにするかしか考えてないから」


憮然ぶぜんとした表情でまた一歩こちらへ近寄ってきた。


ヤギハシさんとシンシアちゃんはハラハラした顔で、見守ってくれている。


「悪魔にしてくれたら、教えてあげるわ」


アスタロト様はベッド近くのお気に入りの鏡台へ近づいて行った。


「早くしないと、わたし消えちゃうかもしtれないんでしょう?」


「悪魔を脅迫する人間の娘など聞いたこともない」


鏡台の椅子を持ってきてベッドサイドに座った。


アスタロト様は、腰をおちつけて、わたしの話をきくになったあらわれだった。


「魂を差し出せば、願いが叶う」


「お願いするわ。悪魔にしてちょうだい」


「人間には戻れない、それでもいいのか?」


「いいわ」


「天国の門をくぐれた資格を失うんだぞ」


「望むところよ」


「永遠にさまようことになるぞ」


「構いません」


「マリー、お前は、大勢の人間が望んでやまない、天国ゆきの権利を捨てることになるんだぞ!?」


「アスタロト!ええわたくしの幸せは、わたくしが決めます!あなたではないの!アスタロト!!いつまでも、太古からの悲恋モノみたいに、君のために身をひく?はぁ~ですわ!あなた悪魔でしょう!しかもかの有名な四大悪魔の一角をになっているんでしょう?なにを人間一人の魂に怖気おじけづいているの?悪魔なら悪魔らしく」


アスタロトさまは、急にたちあがり


「しょうがないだろう!こんなに思ったのは初めてなのだ、こんな思いは!?」


「あら!」


「マリーのことが、心配で、心配で、しかたないのだ!」


「まぁ!」


「悪魔になって後悔した昔の君を、思い出さずにはいられない!!」


「違うでしょ!それは、わたしであって、今のわたしじゃない!わたしは、タイムリープの中で、学んだの、何が大事でなんのために生きるのか!考えたよ!何度も殺されて、何度もアスタロトに助けられて、そしてわかったの」


アスタロト様はこちを見た。


ちゃんと目が合った。


「あなたと共に、生きたいの。わたしは!」


「マリー……」


アスタロト様は、毒気が抜かれてしまったように再び、スツールにへたりこむように座った。


「さぁ、弱虫悪魔さん、わたくしと契約しなさい」


「降参だマリー殿。我は、そなたと契約す」



 ここまで、お読みいただきありがとうございました。


 最終話までは、PM21:00に投稿されます。


 それまで、しばし、お待ちください。

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