ネバーダイイングメッセージ
あなたがこの文章を読んでいるということは、私は残念ながらもう生きていないでしょう。なぜならこれは、あなたに宛てたダイイングメッセージなのですから。最期の力を振り絞って書いた言葉、どうか受け取って下さい。
ところで、よくドラマに登場するベテラン刑事の台詞で「犯人は現場に戻る」というものがありますよね。信じられないような話ですが、自分が犯行現場に証拠を残していないか不安になり、居ても立っても居られなくなる心理から、現実でもそのような行動を実際にとってしまうそうです。
まだ私が何を伝えたいのか分かりませんか? ……つまり、私の亡骸の横に遺されたメッセージを最初に読む者、その人物こそ疑心暗鬼に苛まれて愚かにもこの場所にのこのこと戻ってきた犯人だと決まっているのです! そうでしょう、そこのあなた!
ふふふ、まんまと私の巧妙な罠に引っ掛かりましたね。今更どんなに狼狽えたところで、もう手遅れですよ。あなたは既に私の術中に嵌ってしまったのですから。あなたの凶刃に倒れ、薄れゆく意識の中、私の頭に学生時代ハマっていたオカルトの知識がよぎったのです。
命と引き換えに、魂をこの世に定着させ、ただひたすら文字を綴るだけの存在になる世にも恐ろしい黒魔術。そして、その呪われた文章を一度読み始めた者は二度と目を離すことが出来なくなるのです。言い換えれば、永遠に続く無理心中のようなものですよ……ふっふっふ……。
…………人違い? そんな子供じみた苦し紛れの嘘に、私が騙されるわけないでしょう。文字を書くことしかできない魂だと思って馬鹿にしていますね!
…………えっ……ネット小説……そんな……馬鹿な……
……そう言われれば、確かに魔法陣の文字は若干うろ覚えだったので適当に書いてしまった気もしますが……まさか憑依先を間違ってしまったなんて……それじゃあ……私は、ただの呪い死に損だったのですね……。
ご心配なさらずとも、恨みを持った対象にしか呪いは効力を発揮しないので、いつでも読むのを止めていただいて大丈夫ですよ、ええ。あらぬ疑いをかけてしまい、本当に申し訳ありませんでした。さようなら。
……はぁぁぁぁ……しんどい……。
……つらい……。
……あぁ……下らない魔法陣を書く暇があったら、普通に救急車を呼べば良かった……。
……まだ読んでいるのですか?
……同情するなら体を下さい!
……八つ当たりをしてすみません。
……こんな私に付き合って下さるなんて優しいんですね。
……私が言うのもなんですが、人生は有限ですし、時は金なりとも申しますから、与えられた時間を大切にしたほうが良いと思いますよ。
……ちゃんと読んでます?
……ああ、もう分かりましたよ!!
……成仏すればいいんでしょ!!
……祝ってやる!!
……最後まで読んで下さったあなたに幸あれ!!!




