序章:後輩と、死と、異世界転生
今日も、いつも通りの日常だ。
「黒瀬センパーイ!」
俺の名前は黒瀬元安(38)。大学院を出て建築家をやっている。
建築家業はそこそこやっているが無名。(チクショウ今まで頑張ってきたのに…)
でもあることでそこそこの知名度はある。
それはブログである!←(ドヤ顔)←〈調子に乗ってます〉
ブログに毎日飯テロ画像を上げまくってたら、いつのまにか『流行に乗っている』ということで、テレビから取材が来るようにまでなったのである!
そして今、俺に声をかけてきた爽やか系ハンサムは会社の後輩の太田岩子だ。
こいつがどこかいいレストランはないか?ということでこの広場で待ち合わせしたのである。
「おお太田、どうして急に『いいレストランはないか?』なんて聞いてきたんだ?しかも、そこに行ってみたいだなんて。」
「いや〜すみません先輩。ちょっと言いにくいんですけど僕、芦田さんにプロポーズしようと思って」
「あの、芦田さんに!?」
芦田さんとはうちの会社随一の美人である。太田と付き合っているとは噂で聞いていたが…まさか本当だったとは。
そして俺が驚いた理由がもう一つある。太田のヤツ昨日『非リアは正義だ!』とかほざいてたくせに付き合ってやがった!しかもプロポーズだとぉぉお!?さらにこいつ40歳前で未だに童貞、非リアの俺をバカにしているのかぁぁぁあああああ!!!!
俺はそっと太田の方に手を置いてこう言ったやった。
「お前は、悪に堕ちたな」と。
そんなふざけたことを言っている時だった。
赤い車が猛スピードでこっちに突っ込んでくるではないか!車の先には俺と太田、
「危ない!!!」
俺は咄嗟に太田を押し飛ばした。
そこから先ははっきり覚えていない…
ここはどこだ?
太田は助かったのか?
俺は死んだのか?
目を開くと目の前に美人な、まるで天使のような女性が立っていた。
その女性言った。
「私は、女神リンネ。現世に未練を残した魂を転生させることが使命です。そして私の前にいるということは…」
この人が女神だとしたら俺は…
「あなたは死んだのです。」
この言葉ではっきり理解した。俺は死んでしまったのだ。
長くも短くもない人生だった。生まれてからいいことばかりではなかった。つらいことの方が多かったかもしれない。それでもやっぱり楽しい人生だった。そして一番気になるのは、
「あいつは…太田は、助かったんですか?」
「ええ、助かりましたよ。あなた以外は誰も怪我人はいません。」
よかった、俺が命をかけて守ったんだ!芦田さんといい家庭を築けよ!そうじゃないと、許さねーからな!
てか、ところで気になったんだがこの女神様“転生”とか言ってなかったか?
「もう一つ聞きたいんですが転生って?」
「最近あなたのいた世界はどんどん人口が増えて来ています。しかし、他のほとんどの世界では人口が減っていくばかり。その殆どの理由が魔王やら、戦やらなんやら…そこで亡くなった方々に特殊能力を与えて転生させようということが前回の天界会議で決まりまして。転生を希望されない方は、天国でのんびりという選択肢もありますがどうしされますか?」
来た!テンプレ展開!
Japaneseとしてライトノベルは、片っ端から読みこんでいるのだー!
このパターンは、勇者になって魔王を倒すってパターン!もちろん答えは…
「転生でお願いします!」
「了解致しました。」
女神リンネがそう言うと、黒瀬の足元に“ザ・転生”といった魔法陣のようなものが浮かび上がった。そして女神は、
「良い転生ライフを」
と言って笑顔を浮かべるのだった。
〈黒瀬の転生ライフがはじまる!〉