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プロローグ
あなたには殺したいほど憎い相手がいますか?
ゴーン…ゴーン…
真夜中を知らせる時計塔の鐘が鳴る。
その時計塔はとても古びていて鐘は壊れていたはずだった。
なぜ鳴っているのか。不思議に思い、首をかしげる。
これから起こることへの警告音。そう捉えることもできた。
今更警告など無意味である。
今日この時のために、12年もの歳月があった。
今日のことだけを思い、生き続けてきた。
後ろから足音が聞こえる。
人数は…1人…か。
彼はちゃんと1人で来たらしい。
俺は…何度もシュミレーションした通りの笑みを浮かべて振り向いた。
「こんばんは、名探偵さん」
ゲームセット。俺の勝ちだ。