昔話
昔、日照りの続いた村があったんだ。
水は干上がり農作物も全滅。
村人たちは相談の末に生贄を出すことにした。
しかし誰もが嫌がり、迷った末に山猫を殺して出した。
すぐに雨が降り出して村は救われた。
翌年にも日照りが起き、山猫を生贄に出したがダメだった。
相談して今度は犬を出した。
すぐに雨が降り出し村は危機を脱した。
その次の日照りでは猪。
そのまた次は熊……。
そして、ついに山のいかなる獣でも雨は降らなくなった。
村人たちが相談していると、そこへ旅の偉い坊様がやってきた。
日照りは動物たちを生贄にしたからであると坊様は言った。
村人たちは坊様に供養を懇願した。
坊様が村長の家でお経を唱え始めてすぐ、村の若い衆が取り囲み動かなくなるまで叩き続けた。
これで今年も安泰だ。
生贄を出した途端に雨は降りだした。
何日も、何日も、何日も、雲が晴れることはなかった。
村人たちは山猫を、犬を、猪を、熊を、人を生贄に捧げた。
しかし二度と雨が止むことはなかった。
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