模擬戦
前回、ミスで途中からアウターではなく、モーメントと表記してしまいました。修正しましたので、御了承ください。
模擬戦、実はここの学校の生徒たちは殆ど戦闘経験がない。実際に訓練こそ受けてきたものの真剣に、命がけで戦ったことは無い。
だが、今は違った。この争奪戦で、自分たちの運命が大きく変わる。そういう戦いであった。
入り組んだ町のマップで堂々と突き進む部隊があった、テレとアウターである。
「おい、アウターいきなり動き出すと危ないんじゃないか。何処に敵が潜んでいるのかも分からないし、一旦元の位置に戻った方がいいんじゃないか。」
しかしこの提案についてアウターは
「今のうちに動いておかなくちゃ敵の餌食よ、どういう事なのかというと私達は2人パーティなのに対し、相手は3人パーティの可能性もあるの。つまり、挟撃をかけられたら不利、持久戦も不利だからこちらから仕掛けていかないと可能性は低くなるわ。戦闘経験の浅いかれらが動揺しているうちにこちらから仕掛けていくしかないというわけよ。」
そういって更に加速しながら進んでいくことになった。
一方そのころ他のチームは
「ビガーこんなに大胆に進んで大丈夫なのか?」
そう心配しているのはビガーチームの隊員ソウとシンクであった。
「お前等、心配し過ぎだぜ?お前らは経験があまりないから無理もないが、俺の家には知っての通り大体の施設が揃っている。経験者なんだぜ。」
ビガーの家は金持ちであった。それに加えて毎日の訓練を欠かさずこなしていたため戦闘経験は豊富であった。
「まずは・・・人数の少ないものから狩っていく、俺たちは三人パーティだからな、人数の有利が取れる。まずは・・・そうだな・・・あいつらから狩りに行くか。」
ビガーは二ヤリと顔に笑みを浮かべた。
それぞれの思惑が交差する中、ある場所で銃の音がした。どうやら戦闘が行われているようだ。
戦っているのはある男のチームとブラードと名乗っていたやる気のなさそうな少年であった。
男の方は3人、ブラードの方は一人であった。
「相手はたかが一人、ジリジリと三人で囲って潰すぞ!」
男は2人に指示を出して一斉にブラードに向かって攻撃を仕掛けた、だが・・・・。
横から襲い掛かってきた敵はトラップの前に崩れ落ち退場となった。ブロードの周りには幾つもの罠が張り巡らされていた。
一人だけだと油断させ、相手の盲点つく作戦であった。
「クソッ!まんまと嵌められたのか、俺たちは。一旦引くぞ!」
男は後ずさりしながら後退しようとした。しかし、そのすきを陰に潜んでいた小さき少年の手によって阻まれた。
「クソッ!ここでリタイヤなんて・・・。」
男たちのチームは離脱した。
「成功したねブロード君!」
少年は嬉しそうにブロードの所に駆け寄った。
「ああ、よくやったな~まあでも早くここから離れた方がいいと思うぜ~リクエイド。俺たちは2人パーティなんだから他の奴らが来たら面倒なことになるぜ~。」
そういって、この場を後にブロードのチームは去っていった。
「どうする?アウター、奴らの後を追うか。」
テレたちは銃撃音や爆発音を聞いて陰に隠れて様子を見ていた。
「いいえ、今ブラード達を追いかけるのは得策じゃないわ。恐らく、さっきの爆発音で様子を伺に来たのは私達だけじゃないはずよ。きっとどこかに今も潜んで・・・!危ない!」
突然、背後から大きな巨体が降り注いで攻撃を仕掛けてきた。
「ふぃー、惜しい、惜しい。あと数cmもあれば真っ二つにすることができたんだがな。」
その巨体の正体はビガーであった。
「よりにもよって三人チーム!テレ、ここは一旦引くわよ。」
アウターはテレの腕を掴み、思い切り走った。
「ふん、いい判断だ。だが・・・。」
一刻も早く離れようとテレたちは最短で抜けられる町の角を曲がった。しかしベターのチームの一員に行く手を阻まれてしまった。
「最短ルートで出ることも折り込み済みだ。経験者をなめるなよ?」
テレたちは挟まれた形となり、一気に不利な形勢に変わった。
「さて、この状況でどう抗うかが見ものだなぁ」
ビガーはニタリと笑みを浮かべながら構えの合図と姿勢を取ってトリガーを引いた。勿論、そこからの逆転もあり得ず。2チーム目の退場となった。
「残念だったわね、まああなた達の実力じゃ妥当といったところだけれども。」
モニターで見ていたプゼーションがテレたちを煽ってきたが、言い返すことができなかった。
「いてて、負けちゃったよ~。」
しばらくするとブラードも退場してきた。どうやら負けてしまったらしい。
「ふ~よっこらせっと、これで全員か?小僧、割とてこずらせてくれたじゃねえか。」
どうやら勝者はビガーのようだ。
「むさくるしいのは嫌ですが、決まりではあるので仕方ありませんね。」
プゼーションはしぶしぶ入った。
「おう、丁度花が欲しかった所だったんだ。男だけのパーティじゃ見た目にも響くしな。」
ビガーは退出をする前に
「おい、てめえらまだあきらめるじゃねえぞまだ俺は物足りねえからな。」
といってビガー一行は模擬戦部屋を退出した。
「んなこと言われたって・・・アウターどうする?」
もう他に当てのない二人はすっかり脱力していた。そんな時・・・
「あの~すみません、僕たちと一緒に組みませんか~。」
そう誘ってきたのはブロードであった。
「君たちと・・・?いいのか?」
「ええ、僕達も丁度あと二人~足りなかった所~なので、ほら他の方々もそうしていますし、なんでも模擬戦で打ち解けたりしているみたいで。」
確かに先程までに争っていたチーム同士で混ざっているチームをちらほら見かける。
「確かに・・・それが最善の方法かもな。よし!俺はテレ、でこっちの女はアウターだよろしくな。」
「こちらこそ~僕はブロードでこちらが僕の友人リクエイドです~。」
時間内に人数が揃って何とかほっと一息をついているテレたちであったが、本当の試練はここからであった。
「え~時間が来た。これより試練、実戦を開始する。と、まあ脅かしたが、実は実戦ではない。」
オイルはあるスイッチを押した。するとみるみる会場内の状態が変化した。
「先程、何人かが模擬戦部屋を使用していたが、まあだいたい似たようなものだ。ただ模擬ではあるが実戦に近いようなことをしてもらう。<痛み>を実際に感じさせることだ。それと、勝ち負けは関係ない、実際の戦闘を分析して決める。棄権したい者がいれば好きにしろ、以上だ。」
会場内の衝撃はそれほどまでではなかった。ここまで来た者の覚悟は相当なもであったからだ。
ここまで来て棄権するのであればとうにそうしていた。
そして、それぞれのグループに割り当てられ、本当の戦いが始まろうとしていた。
(予選形式からのトーナメント戦か、勝ち負けは関係ないとはいえ、勝ち残れる所まで勝ち残らなければ。)
武器や防具を選択しながら心にそう思っていた。
「そういえば~テレやアウターは何の武器を使っているのですか~?できれば道具とかも教えていただきますか~?」
とブラードが話しかけてきた。
武器の種類は様々で銃、剣、槍・・・中には扱いが難しいが特殊な物もある。道具にもトラップや傷を癒すもの等様々。防具にも仕掛けが入っていることも多い。
「俺は・・・標準タイプの銃かな、まだ扱いなれていないけれども。」
「私は足に装着する特別なタイプのものよ。衝撃波を伝わせたり、消音効果もあるわ。」
とサラッと説明した。
「なるほど~よくわかりました。一応僕達も紹介しますね~僕とリクエイドは標準タイプの銃です。特に仕掛けはありません~。」
とブラードの説明は更にサラッとしたものだった。
「それで、それがどうかしたのかよ。」
「ええ、作戦を立てる上で大切なことです・・・。」
・・・・戦闘開始まで5秒前、4,3,2,1、戦闘開始!!
設定とか忘れないように自分の作品も見返しながら書いていきたいです。