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友達未満  作者: ちぇる
10/10

少年と再会

昨日彼女と会ったのは、駅から家へ帰る道の途中。恐らくそのあたりだと思うのだが。


コウジはひとまず電車に乗りこみ、そこまで行くことにした。もし間違っていたら、そのまま補習が終わる頃まで近くを探すつもりだった。


ーーー探す?

コウジは自分の中の違和感に焦点を当てる。

ーーーオレの方から会いに行ってるみたいな。いやいやいや、そういうわけじゃない。彼女は目が見えないわけで、橘との連絡もどうなってるのか分からないわけで、もし何も分からないまま歩き回ってたりしたら危ないわけで。

だから、保護しに行くだけだ。ちょっとした人助けだ。気まぐれだ、気の迷いだ。補習のことだけ、それだけ伝えに行こう。


ひととおり、言い訳を並べてみた。神経衰弱のトランプのように、心の中全面に。


彼女に会いたがっている自分がいる。そんな可能性は、ポケットの中にでも隠しておいた。



プルルルルル…

『○○行きが参ります、黄色い線の…』


コウジの向かい側のホームに電車がくる。風で前髪が揺れる。

学生の甲高い笑い声を耳障りに思いながら電車に乗り込む。電車は揺らいで、時刻通りに進んでいった。



コウジの家の最寄り駅。ホームの広さが無駄だと思えるくらいに、この駅で降りる人は少なかった。

電車が発車して見えなくなると、ホームには静けさと、一人の少年しか残らなかった。


改札へ向かう階段へ足を向けようとした時、彼女が目に入った。盲目の、昨日出会った、今日会おうとしている、彼女が。反対のホームで杖をカツカツ鳴らしている。

ーーー学校に行く気か?ってことは橘と連絡はとってるのか?


しかし、考えるより先に少年の足は動いていた。階段を駆け下りた。足がもつれそうになって、一段飛ばした。回れ右して、向かいのホームへ向かう階段を駆け上がる。


トゥルルルル…

電車が来る。息が切れる。それでも構わず駆け上がった。

プシュー…

階段を上がって、景色が開けた。見えた。

点字ブロックに沿って、行儀よくたっている彼女が。


ーーーちょっと待て。

電車に乗り込んでしまう。


「待っ……」

走って手を伸ばす。気付いていない。


ーーー待てって。ちょっと待て。や…


「柳!!!」




プシューーっ……ガタ、ゴトンゴトン…



「……浅羽さん…?」


電車はありきたりな音をたてて動き出した。ホームには、少年と、少女。



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