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夢の後先

「普段はな、こんな道を通るのは俺位、わざわざ山を登らなくても、下にもっと広くて近い道がある。ここはそれよりもずっと前に使われてた今じゃ誰も通らない道だ。

ただ、この道を通って、ナイトが家に帰ろうとしたのは、きっとあんたにこの島を好きになってほしいって思ったからだと思う。

結果はどうあれ、あいつが珍しく誰かの為に何かをしてあげたいって行動した結果だ。

その事は分かってやってくれ」」

麗華は健介の言葉に反応し、体を起こし、視線を海の方に向ける、

いつの間にか、かなり高い位置まで来ていたようで、ここからはこの島の港側が一望できる。海は太陽の光を反射し、目が痛いほど、綺麗に光っている。

その景色を見た時、麗華の中にあった色々な不快な気持ちがすっと消え、心奪われるように、その景色をずっと見つめていた。

「、、、別に私が具合が悪くなったの、ナイト君のせいだなんて思ってないですよ。

まさかこの短期間にここまで体力が落ちてるなんて思ってなかった去年だったらこれくらいなんともなかったのに、、

、、、、、助けてもらって、ありがとうございます。でもどうしてわかったんですか?」

「俺はしょっちゅう熱中症になりかけてる、だからわかるんだよ。」

「しょっちゅうなる、健介さんってなにかスポーツされているんですか?」

「一応野球」

「一応って、、」

「、、、この島には野球をするだけのメンツがいないんだよ、俺が一人で勝手にやっているだけ試合もしたことがなければまともにキャッチボールもしたことがない。」

「ここでそんなに子供が少ないんですか?」

「高校になると普通この島を出て、向こうで寮なり一人ぐらしをするのが普通だからな。ここにも一応公立高校の分校という形で高校はあるけど、そこに行っているのは俺とナイト、3学年で8人、あんまり学力高くないしな。

将来の事を考えるとあまり、いい環境とは言えないからな。

先生もいるが普通は本土の授業の録画を流すのが普通。

それにそんな中で、高校に行っているやつは皆何らかの理由がある奴ばかりさ。

毎日船に乗って向こうまで行っている奴もいれば、俺みたいに家の手伝いやらで、そういう時間もお金もかけられない奴だよ。

まぁ、ナイトは、好き好んで、こっちに通ってるが、野球なんてする余裕なんてない。

だから俺が一人で勝手にやってる。だから一応だ。」

「野球好きなんですね。」

「好きかどうかで言えば好きだけど、夢だからな。プロになるのが」

「夢、、、」

それは麗華が今一番嫌いな言葉。それを嬉しそうに言う、少し気に入らない。

「、、、、普通プロになろうなんて人は甲子園とか目指すんじゃないんですか」

「そうだな、でもここじゃあな。」

「島を出ようとは考えなかったんですか?本気ならそうするんじゃないんですか?」

「うちにはそんな余裕はないそれに、俺は甲子園に出たいわけじゃないプロになりたいんだ。別にドラフトだけがプロの道じゃない、トライアウトを受ければなれるってナイトから教えてもらったからな。」

「それでずっと一人で?練習を」

「あぁ、一番は勉強、金払って学校に行っているし、次に家の手伝い、野球はその次」

「そんな甘い気持ちで、夢がかなうなんて思っているんですか?」

「、、思ってるよ、別になめてるわけじゃない。優先順位がはっきりしているだけだ。」

迷いなく、微塵の不安もなく答える健介に麗華は不快感を募らせる。

「そんな事できるわけじゃないですか、

どんな世界だって、プロになれるのは、本当の天才か、何かを犠牲にして努力して努力してそういう人だけです。

それに、どんなに努力しても届かない事だってある。」

「普通に考えて、って言ったな、俺は常識の話じゃなくて夢の話をしてるんだ。

宝くじに当たる当たらないの話じゃない。自分がやれるかやれないかの話だ。

それを最初から常識で考えてって、つまんないな、あんた。

努力して届くか届かないか、なんてやってみないとわからねえって事じゃないか。

なんであんたがそんなに怒っているのか知らないが、俺はあんたに俺の夢をとやかく言われるいわれはない。それにいことを教えてやる。

人の夢を無理だ、馬鹿だって笑うやつはそいつにはできないからそういうんだ。

アンタには無理なんだろうな、でも、俺は違う。それだけだ」

お前とは違う、イラつく言い方

「何よその言い方、あんたに何が分かるのよ。」

「分からないよ、今日会ったばかりで

名前しか知らないんだ。

アンタの夢も、あんたが何に怒っているのかも

ただ、あんたを傷つけるようなことを言ったのなら謝っておく、だけどな、

俺は俺の夢を笑うやつと仲良くするつもりはないし、そういうやつの機嫌を伺う気もない。

もっとも、あんたの場合、笑うつもりはない見たういだけどな」

「、、、、、」

「、、、、、」

「お待たせ、麗華さん、大丈夫。」

「、、、おせえぞ。」

「あれ?何、怒っている」

「別に、もう心配はなさそうだが、数回に分けてゆっくり飲ませてやれ、それにもうそろそろ日が一番上まで上る。歩けるようになったら朧さんのところで休ませてもらえ。

いるかどうかはわからんが、あそこなら冷房もあるし、水も使えるしな」

健介は言いたいことだけ伝え、再び走り去っていった。


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