健介
「まぁ、今日はね。健介は暑いのに相変わらず暑苦しいね。」
「少しくらい付き合うか?」
「遠慮しておくよ。それより逆に今度の買い出し付き合わない?
健介がいると僕が楽できるんですが、少しくらい奢るからさ」
「同い年におごってもらういわれなどない、、、、親戚か?」
麗華に気が付いた健介は、騎士に尋ねる。
「ううん、恋人。」
「そうか、美人だな。」
「ち、違います、、」
麗華は即時否定しようとするが、立ちくらみのようにくらくらし、声が出ない。
「ナイトの、ダチの健介って言います。どうも、、あのちょっと失礼」
健介は麗華の目をじっと見つめる。
その真剣な表情と距離の近さに思わず、麗華は目をそらす
「ちょっとこっちに、ナイト、水と、タオル持ってないか?」
「持ってないけど、、なんで?」
「ちょ、ちょっと何を」
突然麗華の手を握り、強引に日陰に引き込もうとする。
「君は今熱中症になりかけてる、目も虚ろだし、君が思う以上に君の体には熱がこもっている。首を冷やして体の中の熱を下げる。いいか、君に拒否権はない。」
健介はこうなるまでさせた騎士を怒り気味にまずは、経口補水液かスポーツドリンクをできれば常温で買ってくるように指示し走らせる。
大丈夫だと嫌がる、麗華を無視して、健介は自分が持っていたタオルに自分が飲んでいたお茶で濡らし、彼女の首にあてる。
「飲めるなら飲んでもらった方がいいが、俺が口をつけて飲んでいたものは嫌だろ、少し待っていろ。騎士はあれでも足は速いんだ。頭痛はするか?」
「そんなのしていないです。あの本当に大丈夫ですから、私行きますね」
「動くなと言ったんだ、勘違いならあとから謝ってやる。あ、あとコレ、」
そういって健介は小さなタオルを取出し、それもお茶で濡らし渡す。」
「わきの下辺りを冷やせるなら冷やしておけ、、ちょっと失礼、、いいもの持ってるじゃないか」
健介は続けざまに勝手に麗華のバッグを開け、扇子を取り出して仰ぎ始める。
「ちょっと、何勝手にしてるんですか、怒りますよ。」
あまりに一方的な横暴、勝手にバッグをあさられたことを怒り、麗華は立ち上がり奪い取ろうとするが、さっきより強力な立ちくらみが襲いうまく立ち上がれない。
健介はそんな彼女を片手で軽々と受け止め、今度は彼女のバッグを下にして横に寝かせる。
「それも含めて後から謝るから、今はいう事を聞け、いいな。」
麗華は2度目の立ちくらみが余程効いたのか急におとなしくなり、健介のなされるがままになっている。
「ところで、君は結局、ナイトの恋人じゃないなら、やっぱり親戚か」
「、、、今日からしばらく、騎士君の家でホームステイをする寒川麗華です。親戚ではありませんし、彼とも今日会ったばかりで特別な関係でもありません。」
「寒川麗華、、、あんまり麗華って感じじゃないな。」
「、、、余計なお世話です。」
その言葉は彼女が事務所に入る時も同じことを言われた。キャラにあっていない、華やかな感じがない、もっと親しみやすい身近なイメージで、とそうして彼女は水野やえになった。初めは八重桜からとって桜野やえだったか、それもさくらっぽくないと元々の寒川から連想して水野になった。私には華がないそれが彼女の劣等感だ。
「あんたの事、ナイトのせいだとは責めないでやってくれよ、」
沈黙に耐えきれなくなったの、仰ぎながら唐突に口を開く。