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夏の終わりの帰り道 Re:boot

翌朝早く、皆昨日のお祭りの後片付けもせずに、寝静まっているころ、いつものように港には連絡線がやって来る

「あの、それじゃ、」

「えぇ、またいつでも遊びに来ていいわよ。」

「荷物は後から送るから。」

「お姉さん達は後片付けを手伝って、夕方の便で帰るからって、懐かしの我が家を見たいらしいしね。」

騎士親子3人が麗華に別れを告げる。

本来であれば夏休み中ずっとこっちにいる予定だったが、つばさに付いていく形で、今日、急遽引き上げることになった。

「あの、健介くんは、結局、お礼もなにも言えてなくて、」

「一応連絡はしておいたけど、朝練があるから無理。また遊びにでも来いだそうだよ。その時は釣りでも教えてやるって、」

「そう、、色々ありがとうって、伝えてもらっていいかな?」

「うん、わかった。」

泣きそうになるさくらに必ずあそびにいくと約束し、麗華は船に乗り込む。

船が出、彼らの姿が見えなくなると麗華は船内のつばさの向かいの席に戻っていく。

昨日、結果的に1時間以上歌ったにもかかわずつばさはなんともないと言わんばかりにいつものように、イヤフォンをし、窓の外を眺めている。

「すみません、お待たせしました、あの、昨日言われていた大切な話って、」

麗華がつばさに尋ねると、つばさはイヤフォンを外し、麗華をの目を見つめる。

「再来月、私のドーム公演が始まるわ、それに今日の昼からは新曲のレコーディング。」

「相変わらずの忙しさですね。そんな中私のために、時間を割いていただいてすみません。」

「麗華、再来月のドーム公演、私のサブで歌いなさい。いいわね」

「え、いや、そんな歌えって、そんなの無理に決まっているじゃないですか、そもそも、私は事務所をクビになったんですよ。つばささんがいくら気を使ってくれても」

「私の舞台は私の納得のいくものに、最高のものにする、それが私が今の事務所との取り決め、事務所なんて関係ないわ。四の五の言わせはしない。

あなたは私の舞台に立つ資格がある。それだけのことよ」

本気の目だ。

「あなたの目指すアイドルとは違うかもしれないけど、これもチャンスと思いなさい。

ものにできるかどうかそれはあなた次第、私を踏み台にするくらいの図々しさを持ちなさい。いいわね」

「は、ははは」

「それとも私の誘いを断るつもり、」

「い、いえ、そんなことは、わ、分かりました、全力でやらせてもらいます。」

「当たり前よ。、、、今度は転んじゃダメよ。」

「はい、今度は転ぶにしても笑いを取れるこけ方をします。」

「それだけ言えればもう大丈夫ね」

「あの、つばささん、本当にありがとうございます。」

「あなたは私のライブをむちゃくちゃにした、事実と違っていても、そうじゃないとみんなの前で私が言っても、その嘘はいつまでもあなたにはそれがつきまとう。」

「、、、、」

「マイナスからの出発、でもそれを忘れさせることができるのは本当に笑い話としてみんなに納得させるのは、あなた自身の力しかない。

あなたを舞台に立たせることに反対はあるし、きっと私のファンの皆も快く思ってくれないでしょう。だったら見せつけてあげなさい、期待している者じゃなくても

それを黙らせる程のものをあなたにはそれができる。だからこそ私はあなたを誘っているの。」

「はい!」

力強く返事をし、二人で笑っていると、ひとりの女の子が横に立ち、じっと二人を見つめている。

つばさはサングラスを撮り、そこの子に話しかける

「こんにちは、あなたお名前は?」

「瞳、、、」

「そう、ひとみちゃん、どうかしたの?」

「あのね、これにサイン。」

それは彼女のもつ落書き帳とクレヨン

「これに書けばいいの?」

「ううん、違うの、あっちのお姉ちゃん」

つばさがそれを受け取ろうとした時、彼女は麗華の方を指さす。

「え、わ、私?あの、私なんかより、つばささんの方が」

「何言っているの、しっかりしなさい、あなたの『歌』のファン第一号よ。お姉ちゃんの歌好きなの?」

「うん、綺麗な服でお姫様みたいだったし、歌もすごく上手だった」

「え、でも、、」

「自信を持ちなさい、そうじゃないとこの子にも失礼よ。」

「わ、分かりました。で、でも私サインなんて書いたことないし。」

麗華はなんとかサインを書き終わると、女の子は嬉しそうにそれを受け取り、両親の所に戻っていった。

「もし、くじけそうになったとき、あの子のことを思い出しなさい。

あの子が応援してくれているそう思えばどんな辛いことだって乗り越えられる。

区別するわけじゃないけど、最初のファンは特別なのよ。」

「はい!」

最初のファン、麗華の中では厳密にはさっきの女の子じゃない。

でも、その思いは変わらない。麗華は心の中で何度もみんなにお礼を言う、今日までのできごとすべてを忘れないために、今の思いを決して無くさないように

その日からすぐに麗華の特訓は始まった、その時の麗華は所属する事務所もなく、つばさの許可を得て部屋の隅で練習をし、元同僚に陰口を叩かれる日々だったが、

決して麗華の心が折れることはなかった。

ほどなく、彼女は姉の在籍する事務所に所属し、アイドルとして再起を図ることになった。


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