始まりの夜
ライブが始まるとその音に惹かれ、人が集まり始める。そして彼らの音に答えるように、
麗華は歌いだす。
「すごい、人がどんどん集まってくる。」
「当たり前よ、あの子にはこれくらい出来て当たり前よ。」
「高く買ってるのね。」
「それだけの努力をあの子はしている。あの子くらいよ、私と同じものが見える可能性があるのは、」
「そんなあの子が、つまらない事で、才能と努力が評価されないって可愛そうだと思いません?」
愛理は悪い笑いをしながらつばさに近づく。
「な、なによ」
「貴方の言う狸親父にいいように使われて、あなたも気分はよくないでしょ。
きっとあなたが起こって抗議したところで、その場で謝っても、心の中では小うるさい小娘だ位にしか思わないわよきっと、そういうしたたかさがないと、えらく離れないでしょ。
だから、違う方向での仕返し、例えば、、、」
愛理はつばさに何かを耳打ちする。
「なるほど、面白そうね。でも、私今日はメイク道具も何も持ってきてないわよ。
さすがにノーメイクで出ると私の印象が、それにプロとしてのプライドも、」
「そうね、、、」
愛理は皆が麗華の舞台を見にこの場にいなくなったのを再度確認する。
「それじゃ、目をつぶって」
「は?」
「いいから、」
つばさは言われるがままに目をつぶる
「いいわよもう開けて、」
「一体何なのよ?」
「どうこれで、」
愛理はつばさに鏡を渡す。そこには完璧にメイクが施され、髪も衣装も、以前のライブの時を完全に再現している。
「あなた、、、なにしたの」
「これでも化かすのも、騙すのもは得意なんで、タヌキなんかに負けないわよ。」
「まったく、麗華も変なのに気に入られたもんね。」
「僕たちも彼女に魅了されたそういうことだよ。アイス食べる?」
「終わってからにさせてもらうわ、ちなみに私はチョコミント、ないんだったら買ってきなさい。」
「まったく、肝の据わった人だね。さてどうする」
「私は、正面から舞台を楽しませてもらいます。他の皆も、彼女の歌に興味津々です。」
愛理の周りに無数の光が集まってくる。
「お兄様は先にコンビニにアイスでも買いに行ってください。」
「え、俺見れないの?」
「大丈夫、彼女たちの熱はそう簡単に引きはしませんよ。まだ夜は長いですから、」




