祭りの日の昼
「はい、そこまで、アイス食べる?」
「邪魔です。」
「邪魔くらいするでしょ、お前本気で殺す勢いじゃん。」
「大丈夫ですよ。ちゃんと死体の処理ぐらい完璧にしますから、こんなごみでも人の形をしている以上、死体が出れば殺人罪になってしまいます。そんな不条理な罪でつかまったりしたくありませんから。
「いつもの冷静な君なら、そんな厨ってる発言しないでしょ、頭冷やしなさいな。なんで怒っているのか知らないけど、」
「白々しい、、、」
騎士はねじりあげた腕を話すと朧のアイスを払いのけ、無言でその場を後にする
「みんなに心配されないように、その顔直しときなよ。さてと、、彰に翔也に、、、礼司、美鈴、それと、夏美かな?久しぶりだね。この一年でだいぶん変わったね。あぁ、それをどうこう言う気はないよ。今が楽しければそれでいいよ。青春だしね。でも、君たちが変わったように騎士だって変る。反抗期みたいなもんさ、変に昔のノリで絡むと怪我するよ。
向こうはもう友達とも思ってないみたいだし、関わらないほうがお互いのためだよ。」
朧は彼等を見送ると塀の上に上り、聞こえてくる音で祭りの進行を見守る
「そう、誰だっていつまでも変わらないものはない、変わらないならそれはもう人じゃない。だよね、ま、僕にとってはどうでもいいことだけど」
「何を悦に浸っているのですか朧兄様。」
「愛里、あまり不用意に出歩いちゃ駄目じゃないか、」
「あら、松葉杖は持ち歩いておりますわ。それにわたくしには、お兄様と違い、忙しい身、それなりの準備がありますので。」
「楽しそうで何より、すべて首尾よく?」
「えぇ、みなさん、進んで協力していただいておりますので、こういう時、鉄平さんの人脈と交渉術があると非常に有効かつ安心して任せられますわ。」
「この間、夜いなかったけどそれも?」
「あら、女の寝床を覗きにでも?」
「愛里じゃなければそれもいいかもね、あまり感心しないね。夜の外泊。」
「まぁ、たまにはよろしいじゃありませんか。まぁそれだけの結果があればよいのですけど、こればっかりは何とも言えませんゆえ。」
「彼女は大丈夫?」
「あのあと何度か人前で練習していますが、問題なく、というより人前で歌うときのほうがより素敵です。あれが本当の彼女なのでしょう。それより健介のほうが心配ですわ。」
「大丈夫だよ、やると言ったらやる男だ。それに惚れた女の前ではいいカッコをしたいものだろ」
「、、あまり本人の前でそれを言うのは酷ですわよ、あの子あれで隠しているつもりですから、隠すなら騎士くらいうまく隠さないと。」
「え!騎士もなの!さすが天性の嘘つき、全然気づかなかったわ、というよりあいつにそんな感情があること自体が驚きだわ」
「騎士は朧兄様と違っています。好き嫌いが極端ということはそういう感情があるという事、自分のためじゃなくて人のために怒れるのも好意があるからこそ、」
「あいつの場合、気分の問題で自分のために怒っているのかと、、」
「それも多少はあるでしょう。あの子は今までこの世界に興味を持てなかった、初めての敗北、初めての家族以外への愛情、自分の感情をどうしていいのかわからないところはあるでしょう。」
「、、、、心配だな、だとすれば。あいつなんでもできるから、何をするか、、」
「大丈夫ですよ。そのためのご両親です。それよりお兄様、そろそろご老体の皆様お相手をお願いしますね。わたくしは忙しい身です。いつまでも拘束されるわけには来ませんので、お願いしましたよ。」
「えー、俺が、神主の仕事ってそんなのばっかじゃない、、、ってもういない。」
朧が愛里のほうを見ると季節外れの落ち葉が一枚まっているだけで愛里の姿形もない。
「まぁ、今日一日くらいは頑張ってみるかね。かわいい子来るかもしれないし、」




