前へ
「お帰りなさい、」
さくらの声だけがし、騎士が階段を上がる音がする。
その様子からも勝ったか負けたかは明らかだった。
麗華は鏡で目が充血していないかを確認すると、部屋を出てさくらの顔を見る
「超絶機嫌悪いみたい、悪いけど、しばらく一人にしてあげてて、」
少し残念そうな、さくらはそういい、何事もなかったかのように騎士に昼ごはんをどうするか聞きに階段を上がる。
健介が勝ったんだ。さくらは携帯を部屋のいたまま、靴を履いて学校に向かう。
だが、そこには健介の姿はない。冷静に考えれば当たり前だ。
健介はおそらく徹夜で練習していた、だったら今頃で疲れて寝ているはずだ。
そう思った時、山の上から雷が落ちる音が聞こえる。
体がビクッとなり、山の方を見つめる。雲は出ていて、今日の夕方から大雨の予報だが、さっきの音は雷じゃない、神太鼓の音だ。音を聞くのは初めてだが、そうに違いなく、
そしてそれを鳴らしたのが誰かも一人しかいない。
麗華は、そのまま、今日は練習もせずに神社へと向かう。
彼がまだいるうちに、坂道を早足で登っていくが、近道の急な山道の石階段に差し掛かると、疲労からか足が重い。
まだ先は長いと顔を上げると上から転げ落ちるかのようにものすごい速度で人が走ってくる。あんなものを真似しろといってもコケる自信かないがそんな速度で、降りてくる
「っっしゃぁ!!」
柄にもなくテンションを上げ、独り言を叫ぶことなどありえない彼だが、
感情的に声を上げている。
普段誰も使わないこの道ならばと、普段以上に目の前のこと以外目なくなっている彼にとってまさかこの階段を使う人がいるとは思わず、彼が麗華を認識した時には時すでに遅し、目線がバッチリ、全部見られていたと、急に減速し、平静を装い、目をそらし、考えた挙句、よう、と何事もなかったのように挨拶をする。
「うん、、、さっきの太鼓の音、健介君だよね。」
「あ、あぁ、力任せだって怒られた。頭ん中まで筋肉でできてるのかって、まさかのカスタネットで練習させられた。」
「っぷ、脳筋ってこと?」
「笑うな、」
「ごめん、ごめん、ところでさ、騎士君との勝負、勝ったんでしょ。すごいじゃん、一日でそんなに上手くなるなんて、おめでとう」
「、、、あ、あぁ」
「なによ、反応が鈍いわね。」
「い、いや、別に、ありがとう。」
健介は屈託なく笑う。
「さっきテンション上げてたけど、やっぱり勝てたのが嬉しい?」
「、、、、それもある、初めて騎士に勝てたからな、でも、それ以上にやっぱり野球って楽しいなって思ってな。初めてだったからさ、まともに野球するの、
楽しいな、真剣勝負って、自分が本気で好きなんだって分かったよ。」
「そう、よかったね」
「あぁ、いろいろ吹っ切れたから、、、、さて、だからさ、今度の祭りもやれるだけのことは本気でやるよ。どうせやるなら、父親よりもスゲェって言わせたいからな。
色々ありがとうな、気も使わせたみたいで、」
「え?」
「騎士が言ってた、心配してくれてたって。」
「そりゃ一応、、健介くんだって私の心配してくれてたし、」
「ま、それだけでも十分ありがたいよ。ところで、今日も練習か?」
「うん、、、まぁ、、そうなるかな」
「なんだよ、違うのか?」
「ううん、違わない。」
「今日は早めに帰れよ。多分相当雨が強いはずだからな。」
「うんわかってる。じゃ」
今までの健介とは明らかに違い、楽しそうだ。目指すべき場所が見え、まだまだ強くなれる可能性が見えた。だからこそ健介は変わった今まで以上に真っ直ぐに
全力で、、




