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一人の生き方

愛理が嫌味を言うのはいつもの事だが、悪意のない相手に嫌味を言うのはこれが初めてだと言ってもいい。だが、愛理はあえて必要のない挑発までして麗華を炊きつけたのは、自分の力で立ち直ろうとする彼女の手助けの為、彼女は本来逆境に強い、そして目標は明確で大きいほど燃えるタイプだ。ならばあえて自分がその敵になる。

その為に愛理は一週間、精霊祭への準備を中断して、ただの一曲。そのイントロ部分だけを必死に練習し、嘘までついた。つまりは完璧にやるにはそれが限界だった。

愛理が帰った後、健介が戻ってきた。

愛理が帰った事を知ると、そうかと特に気にするわけでもなく、聞き流す。

「、、、どうかしたのか」

「ううん、なんでもない。」

「今日は本当に悪かったな、ごめん。」

「もういいよ、気にしてないから、私もありがとうね。心配してくれて。」

「、、もうあんまり無理するなよ」

「うん、今日はもう終わりにする」

「今日はじゃない、」

「ははは、冗談。分かった、心配してくれてありがと、ほどほどにしておくわ、それに来週の月曜からは愛理さんに精霊祭の歌と踊り教えてもらう事になったから、、、」

「よくやるよ。あの人も、君も、、なんだ?言いたいことがあるならはっきり言え」

健介は自分に何か言いたいことがあるように見つめられる麗華にその内容を尋ねる

「そんなにこの島が嫌い?」

「、、、愛理さんから聞いたのか、だろうな、さっきから変な感じだと思った」

「ごめんなさい、」

「いいよ別に、隠す事でもないし、どうせあの人が自分から勝手にしゃべったんだろ。

兎に角俺は嫌なんだよ。祭りだとかそんなくだらないものに一生懸命に、何にもなりはしないのにばっかり必死になってその前にやる事があるだろ。くだらない」

「くだらなくなんてない!お祭りは特別な日。皆が楽しみにしてるんだよ。」

「だから?」

「だからって、、」

「なんで俺がそれに付き合わないといけないんだよ。馬鹿馬鹿しい、」

「それは健介君にしかできない事じゃない。期待に応えようって思わないの」

「思わないな、なんで利用されないといけないんだよ。

勝手にやる分は別にいい。だけど俺にそれを巻き込むな。俺が何で騎士と仲がいいか分かるか?

俺もあいつと同じで冷めてるからだよ、他人に合わせるのが苦手同士、それが分かってるからだよ。俺は俺のやりたいことをやる。

俺は誰も頼りにしない。だから誰も俺に期待するな、かそれだけだ。」

「どうしても、いや?」

「あぁ、どうしてもだ。おれはな、俺がやりたくないことつまらないことをやっているうちにそれが本当に楽しいと思えるようになることが嫌なんだ。」

結局、麗華の説得は失敗に終わってしまった。

健介の気持ちを愛理は少なからず共感していた。目指すものがはるかに高いから、止まることもわき道にそれることも、近道もない。今、自分が幸せだ、楽しいと思ってしまったら、そこで満足してしまいそうで、欲しいと願ったものの、夢の代替品で満足してしまいそうで、それが怖いという気持ちは少なからず理解できる。

だからこそ、その日はそれ以上何も言えなかった。

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