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さくら

「とりあえず、夕ご飯もう少しでできるから、騎士、麗華ちゃんを部屋に案内してあげて。」

麗華は勇騎に連れられ1階の和室に案内される。そこは昔お父さんが使っていた部屋。おいてある物は違うが、間違いなく、自分が暮らしていた家だ。

「とりあえずここで、2階の僕の部屋の隣でもよかったんだけど、隣に僕がいたら気を使うかなって、ベットの方がよかった?」

「いえ、全然、あの、ちなみに2階も見せてもらっていいですか?」

自分が暮らしていた家だ、一通り見ておきたい。勇騎に連れられ、2階へ、両親と自分が寝ていた部屋は、桜と鉄平の寝室。そして姉の部屋が今の騎士の部屋だ。

部屋の中は綺麗に整理こそされているが大量のダンボールなど物であふれかえっている。ポスターや小物などはほとんどないが、とにかく殺風景で物が多い印象だ。

「僕の部屋。こっちのダンボールの中のは僕の趣味で集めた物。

で、こっちがお客さんに送る商品の一時保管場所。」

「ダンボールとノートパソコンとパソコンが2台、学校の教科書に、DVD、あのここら辺のって開けないんですか?」

「飾ると光で変色するから、僕は集めて、外箱見るだけで満足するから、ちなみにクローゼットの中は未開封のプラモもありますよ。あとこれはパソコンじゃなくてゲーム機。DVDじゃなくてゲームソフト。ゲームはしないんですか?」

「そういうのは全然。ごめんなさい。」

「謝るような事じゃないですよ、趣味なんてものは理解されないものです。特に僕の場合は他の人から見るとガラクタの山ですから、まぁ、売ればそこそこお金にはなると思いますけど。」

一番長い時間を過ごしたお姉ちゃんの部屋、今では見る影もない事を仕方がないし、当たり前の事だが、自分の大切な思い出の場所がなくなったようで寂しく感じてしまう。

麗華は自分の部屋に戻ると、先に届いていた荷物の荷解きを始める。

窓の外から見える景色は昔とさほど変わりない。

なんだか、さっきまでの愛理の歌を聞いて上がったテンションが、どんどん沈んでいく。

ここは自分がいた場所なのに、もう自分が知らない場所になってしまっている。

でも、ちょっとおもしろかったのは、小さい頃、自分はここが島だとは思いもしなかった事と、今の今まで、ここに自分がいた事を思い出せなかった事。

それがなんだかおかしく感じてしまう。

「麗華ちゃん、騎士ー、ご飯出来たわよ」

さくらの呼び声に反応し、麗華がリビングに行くと3人分の食事が用意されている。

リビングに入ると、キッチンが最新のシステムキッチンにリホームされ、広くなっているようで、この部屋だけは欠片も面影がない。

「ご飯こんなのでよかったかしら、一応、ネットで見て、見様見真似で作ってみたんだけど、食べちゃいけないものがあったら教えて、」

用意されていた食事は、自分が普段気を付けている油ものと炭水化物を控えた食事だ。

しかも夕食は抑えている為、麗華の分だけ用意された量が少ない。

「すみません、気を使わせたみたいで。」

「全然気にしないで、私も本当はこういうのに気を付けないといけない年なんだけどね、ついつい料理は好きだから、気合が入っちゃって高カロリーになりがちなのよ、こういうのも勉強になって楽しいの。

私も騎士を産んだ後、結構太ってそこは何とか戻せたんだけど、あの子見かけよりもずっと食べるし、夫が食べる量が多いからついついね。

私も食べる量が増えて、めちゃくちゃ太ってきてたから、ちょうどいいの」

「あの、、ちなみにさくらさんって何歳なんですか?」

「もう34、ことしで35になるわ。」

「、、、私のお母さんより、お姉ちゃんに年が近いです、お姉ちゃん28だから、お姉ちゃんと6歳差ですよ。というか騎士君は、、」

「あぁ、騎士は私が18歳の時の子供だから、あの子は私が大学に行ってた時の子供だから、」

「学生結婚ですか?」

「うーん、当時働きながら資格取るために夜間学部に通ってたテツ君との間に騎士が出来た時点で大学辞めちゃったし、結婚したのはその後だから厳密には違うかな。

いやー、当時はテツ君もほとんど自分が暮らすので精一杯で、大学も借金してて行ってたから、大変だったのよ。私も騎士を産むって言ったら両親に勘当されちゃって、結局あの子が生まれる1か月前まで妊娠隠して働いて、」

軽く話しているが、中々波乱万丈な感じ、聞いてよかったのかと麗華は後悔する。

「さ、そんな話は、興味があるならまた今度、騎士もこういう話してると入りにくそうだし、」

会話を終え、3分ほどで騎士は何も知らないふりをして部屋に入ってきたが、階段の明かりに照らされた影でさっきも降りて来ていたことは明白。

だが、流石に麗華もそこには触れない。

「お父さんは?」

「今日も仕事、帰りの船には間に合わないって連絡があったわ。

仕事がなかなか片付かないから、帰ってこれるのは日曜日だって、」

「ってことは、土曜日はお父さん所に泊まっても大丈夫?」

「まぁ、そうね、その方が私は、女同士麗華ちゃんとゆっくりできるから、たまにはいいかもね。ただし、お父さんに何か買ってもらうのはダメ、あとこの間みたいに飲み屋に行くのものダメだから。」

「別にお酒飲んだわけじゃないでしょ」

「あぁ言う場所が子供が行く場所じゃないの、また本気で怒られたいの?」

騎士はおとなしく、さくらに従う。

食事中、さくらは自分の事を話すのが主体だが、楽しそうに麗華に話しかけてくる。

麗華と話していると年こそ離れているが友達と話しているような感覚で、すぐに麗華はさくらに心を開いた。こういう母親は正直羨ましいと思える程、

さくらは麗華にとって魅力的な女性だった。


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