愛理
騎士たちがここに来るために坂道を上りだした麓にあるこの島唯一の12時間営業のコンビニの袋から都合よく、キンキンに冷えたアイスを4つ取り出す。
「あ、あの、」
「ちなみにチョコミントは俺のだから」
朧は麗華の言葉を遮る。
「朧兄様、チョコモナカは私のですわ。」
さっきまでこちらに少しも気づいていない様子だった愛理が、歌うのをやめ近づいてく。
「祭りの練習ですか?」
「ただの趣味よ、練習なんてイヤよ、疲れるわ。それよりあなたがここに来るなんて珍しい、今日はどういった御用かしら、、あら、あなたは」
愛理は麗華の顔をまっすぐに見つめる。麗華は愛華が持つ不思議な威圧感に押され、目を背けるが、愛理はその目線を追う。
「さ、こっちにいらっしゃってください。お茶くらいは出しますよわ」
結局、麗華は流されるままに神社の本殿の脇にある二人の家の居間に招き入れられた。
「問題ないわ、熱中症でもない。ただ慣れていないから、この島の大気にやられただけよ。」
朧がウーロン茶を題している間に愛理は麗華の脈や熱を測り、問題はないと断言をする。
「島の大気?」
「そう、この島には、隣の精霊島ほどではないけど多くの精霊たちが暮らしている。
それはこの島の空気が精霊たちにとって過ごしやすいもの、だけど、この島の出身でないのにとってここの空気は毒になる。精霊たちに嫌われるような事をしなかった?
例えば、この島の事を怖いと思ったり、つまらなそうと思ったり、、、」
麗華は心当たりがないが、思わず自分の記憶を探す。
「冗談よ。もしそうなら、いやいや言いながら、引っ越してきた騎士君はとっくの前に死んでいるわよ。で、騎士君は人のパソコンで何をしているのかしら?」
「今日までのアニメのまとめと考察。更新してなかったから注文の返信のついでに」
騎士は勝手に愛理のPCを使い何か作業をしている。麗華が覗き込むと、そこには英文が
「外国のサイトですか?」
「ううん、僕がやってるやつだよ。」
「なんで英語なんですか?」
「それはこのサイト見ている人は外国の人だから、英語だったら、それ以外の国の人でもグー○ル先生が翻訳してくれるから、」
「ナイトは、個人で日本でしか買えない限定グッズだとかアニメグッズだとか、日本の文化に興味のある外国人相手に買い物代行をしているんだよ。」
「オリジナルの方が、発売が早いですし、やはりこの手のものはオリジナルの方に価値がありますから、逆に僕はお客さんからアメコミグッズを買ってもらう事もありますよ。」
「儲かるの?」
「いいえ、ほとんど、普通にバイトするほうがずっと儲かります。
本腰を入れてやってもやっていけるかどうかは、ギャンブルだと思いますよ。
昔は売れそうなものをまとめ買いして売ろうとしていたんですけど、意外に売れなくて、在庫分を普通に中古ショップに売って、それで10年間貯めてたお年玉が、ほとんどなくなりました。
今はこうやって日数がかかってもいいという人だけの注文を受けてから買いに行ってます。こうやって情報発信サイトをやってはいますが、サイドのアフェリエイトとかは全然ですし、実際、僕の場合10人くらいの顧客がいてくれているから一応プラスと言った所ですね。それより、こうして好きな事について、同じ目線で熱く語れるところが良い所ですか、基本的に外国の人は興味のない事は興味がないで終わらせますからネガ発言ありませんし、国民性を理解していれば多少の暴言は腹は立ちませんから。
こういう環境にいますから、言葉よりも同じ価値観で話せる相手がいるほうが重要ですよ。」
「グローバルで活動的なオタクでしょ?騎士は毎週おもちゃを買いに船で向こうに行ったときにわざわざネットカフェでゲームしてるのよ。」
「だってここだと回線の問題が、それに僕はオタクではなくマニアですし、なにより、あれはおもちゃではなく、商品でありそして芸術品です。いいですか、、、」
今までとは別人のように生き生きしながら、無駄なポーズも決めて騎士が語り始める。
「見ての通り、この島じゃ、誰もナイトの話についていけない。これが本当のナイト。
ナイトは他人に合わせることができても、他人がナイトに合わせることができない。
だからのモニタの向こうの同志なんだ。
ナイト、テンションあげて語るのはいいが、あまりここで長居し続けると、さくらさんが心配して迎えに来た上、お前のGPS機能をまたオンにされるぞ」
騎士が慌てて携帯で時間を確認すると、既に16時過ぎ、予定ではとっくに家についていないといけない時間。
騎士はすぐに母親に電話をかけ遅れた理由を説明し、即時帰宅を約束する。




