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序章:ここに至る彼女の話①

小さい頃、私がテレビのアイドルのマネをするとお父さんもお母さんも喜んでくれて、褒めててくれた。私はそれが嬉しかった。

いつか私もTVの中のキラキラのステージで歌いたい。そんなよくある憧れ、よくある夢、

でも、その夢は大人になるほどに遠く、そして自分とは関係のない世界のものになっていく。年齢なんか関係ない、そういう人もいるかもしれない。

でも同い年の子がTVに出ると私の夢は遠くなったと感じてしまう。

だから、カラオケボックスで友達と歌う時、うまいね、

そう褒めてくれるだけで十分。私には関係ことだと思うようにした。

中学一年の時、一回り上の姉さんが芸能事務所に就職し、歌手のマネージャーになった。

姉さんはまだデビューしたばかりの現役高校生の、年下のその人の事をすごいと何度も自慢げに話して、本当に人が変わったように、一生懸命その人の為に、電話をかけ、頭を下げ、家族との時間も、彼氏さんとの時間も、その関係も犠牲にして、その人を一生懸命売り出していた。姉さんがマネージャーを担当しているタレントさんは全部で8人。そんな中、無名の高校生にあてる時間などない。

だから姉さんは自分の時間を割いてその人の為に色々やっていた。

働き詰で、その上、わずかな休みも、その人の為に、

だから、私はあった事のないその人の事が嫌いでしょうがなかった。

私のお父さんも、誰かの為に一生懸命な人、休みの日でも、どんなに遅い時間でも、電話一本で仕事に出て行っていた。だっただけど、結局お父さんは過労で病気になり、死んでしまった。

無理をしてそれを隠して、笑って、私と遊んでくれる優しい父さんだった。

でも、結局会社の為に、皆の為に、そんな事で死んでしまっても、何にもならなかった。

会社の人は葬式の時に何度も謝りはした。

仕事のせいでお父さんが死んだ。でも、そんな事で争いたくはない。

だから、お母さんも、おじいちゃんも、それを許した。

でも、結局それ以降、会社の人がお父さんのお墓に来ることもなかった。

お父さんのことが大好きだと言っていた部下の人からの年賀状もぴたりと止まった。

結局お父さんはいなくても、その会社は当たり前のようにまわって、お父さんがしてきたのは何だろう。

お父さんがいなくなってすぐに代わりにお母さんが私たちの為に今まで以上に働くようになった。

そして今度は姉さん、二人共仕事に一生懸命、姉さんもお母さんもいつか同じように、仕事に殺される。そんな気がしていた。

そんな働き詰の姉さんの部屋から22時を過ぎた時突然、今までにないほど大きな声が聞こえた。それはその人のライブが決まった連絡だった。

姉さんは何度も嬉しそうにお礼を言いながら、生き生きと仕事の話をしていた。

話が終わると、姉さんは、夕食の時の疲れた顔などどこに行ったのか、私にその嬉しさを共感してほしいと、気持ちが先行する言葉で私に一方的に話しかけてきた。

私は姉さんが喜んでいることは嬉しかったけど、知らない人のことで喜んでいるのは正直嫌だった。

麗華も来て

話の終わりに突然のライブへの誘い、私は姉さんのその時の情熱に押され、返事をしてしまった。


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