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一期一会 第三部  作者: ヤルターフ
第二編 前進!
29/93

オーランドの武勲 5

「最終安全装置解除」

「目標を衛星にて確認」

「誤差修正プラス0.2」

「薬室内圧上昇」

「システム異常ありません」

「対ショック、対閃光防御」

「マルロー参謀、発射準備完了しました」


 副官がそう言うと、マルローが閉じていた瞳を開き、組んだ腕を戻して決然と言い放った。


「撃て!」


 ロケットのようにそびえ立つカノン砲から、凄まじい衝撃と共に轟音を鳴らして砲弾が発射された。目標はオーランドから北に約十キロと近い。ためにほぼ真上に発射された砲弾は雲を突き抜けて上空一万メートルまで上昇する。やがて慣性と引力の狭間に到達すると、隕石の落下する音をさせて目標に着弾するやとてつもない爆音と共に巨大なキノコ雲を出現させた! その衝撃波は凄まじく、オーランドの北二百メートルの建造物を全て吹き飛ばしてレウレト達のいる街道まで余波が届く程である。兵士達が動揺するのをレウレトが大喝して抑えつつ反乱軍がおそらく来るであろう街道の端を見据えてじっと耳を澄ます。あの大爆音から経過すること十五分、果して反乱軍が我先にと街道を通る音が聴こえてくると、レウレトが砲兵に近寄ってこう下知した。


「いいか、照準はそのままだ。オレの合図を待て」


 やがて敵影が長蛇の列をなして脱兎のごとく兵士達の眼前を横切ってゆく。そして最後の部隊が眼前を通り過ぎるとレウレトが号令した。


「撃て!」


 いん々たる砲声が轟いてタンパ方面で激しい喊声かんせいが上がる。彼がひらりと馬上の人となりて軍刀を抜き放つや、


「前進!」


 と混乱する敵兵目掛けて突進し、続いてレウレト麾下きか精兵二百も突っ込んでいく。


 白刃烈風を巻き起こして光を受く、死屍累々と築かれて大地を朱に染めん。


 敵影のなくなったのを見渡してレウレトが獅子吼する。


「砲兵隊は後続を断ち切れ。我が隊はスラタニ隊と合流し、このまま敵をタンパに押しあげる。我に遅れるな!」


 レウレト麾下二百とスラタニ隊と、併せて約千の兵が彼を先頭にして疾駆する。風を切るレウレトの体は熱を帯び、今や白熱化してたちまち後続に伝播して総軍火の玉となって街道を突き進んでいく! そうして散々に追撃された敵兵五百は辛くもタンパに残した兵と合流するのだが時すでに遅し。修羅と化したワトリックの剛剣に滅され、港の敵兵は半数以下になっていた。そこにレウレト以下一千が挟撃の形でとどめを刺す。あわれ反乱軍はものの一刻もせぬうちに路上の露と消えた。


 馬上にてレウレトが血に濡れた軍刀を掲げて大音声、


勝鬨かちどきを上げろ!」


 あまりに早く、あまりにあっけない、圧倒的な勝利である。一九七九年十月十二日、英雄児レウレト=フォン=ルクレールの名が歴史に刻まれた。


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