過去と現在の狭間
一翌日、フェリスは筋肉痛だった一
光が窓からカーテン越しに部屋に差し込む中フェリスは脚の筋肉が張ってベッドから起き上がるのも億劫になっていた
「はぁ...脚痛っ...」
運動不足なのにも関わらず、昨日散々イグニスと観光して歩き回ったのだから当然だった
「昨日の夜はイグニスにご飯も宿代も払ってもらっちゃったから良かったけどそろそろお金ないんだよなぁ...」
フェリスは覚悟を決めて、でもやっぱり億劫でまたダラダラして覚悟を決めての繰り返しをしばらく続けた後起き上がり窓のカーテンを開けた。
目が焼けるような光が目に入りフェリスは顔を顰める
「うっ...目が...」
フェリスはふと窓の外を見下ろす。石畳の上を勇者一行が談笑しながら歩いていた
「あれが白金の等級の勇者... そして他二人は金煌の等級...白瓷の私と違ってめちゃくちゃ稼いでるんだろうなぁ、いいなぁ…」
フェリスは憂鬱な顔を浮かべながらも着替えて朝食を食べて宿から出た後冒険者ギルドに向かった
宿を出たフェリスは、まだ朝の光に少し目を細めながら、石畳の街路をゆっくり歩いた。昨日の観光による筋肉痛はまだ残っているが、冒険者として今日も仕事をこなさねばならない。
ギルドの扉を押し開けると、にぎやかな声と金属がぶつかる音が入り混じっていた。受付に顔を向けると、いつもの依頼板が並んでいる。簡単な探索依頼やモンスター討伐の募集の中、フェリスの目に一つの依頼が止まった。
「...よし、これにするか。」
受けたのは迷宮の奥に潜むオーク討伐の依頼。報酬はそこそこ。少し緊張感が湧いたが、体を動かすのも悪くない。
迷宮に足を踏み入れると、薄暗い空気と湿った石壁の匂いが広がった。フェリスはすぐに剣を2本抜き取り、魔力を整える。
突如として咆哮があたりを包み込み三体のオークが現れた。
フェリスは2本の剣を抜き取り風魔法を体に纏わせ風圧や摩擦などを減らし高速で機動しても負荷がかからないような状態にする。オークの一体がフェリスに腕を伸ばし攻撃したその刹那フェリスは身をよじり攻撃を回避した後オークの腕の上に上をネジのように旋回しながら突っ込んで剣を振り切り刻みオークの腕を螺旋状にバラバラにする。
そこからフェリスは瞬間的に風魔法で少しだけ空中を機動してそのオークのうなじを削ぐ。残りの二体のオークが怒り狂いフェリスに襲いかかるがフェリスは高速で動き一体のオークの股下を滑り込み後ろに回り込み2体のオークの首を切断した。フェリスは戦いが終わりふっと息を吐く。息切れというほどではないが微かに胸が熱い。ふと、迷宮の出口に近い光の隙間から、別の戦場が目に入った。勇者一行だ。勇者アリエル、フードの魔法使い、赤髪の剣士。彼らは高火力魔法と剣技を使い、遠くからミノタウロスやゴブリンの群れを蹴散らしている。
それを見たフェリスはアホ面を浮かべ素っ頓狂な声を上げる
「えぇ!?なにそれ!ずるい!」
そう笑いながらも唇を噛み指先が白くなるほど拳を握っていた
フェリスは遠目に見える勇者たちの圧倒的な力に小さく息を呑む。
迷宮に静寂が戻った。フェリスは息を整え、少しだけ肩を落とす。戦いは終わったが、遠くに見えた勇者たちの無双ぶりが、頭の片隅で光を放っている
「...さて、報酬をもらって、帰ろうか。」 フェリスは剣を鞘に収め、迷宮の奥を一瞥しながら歩き始めた。心の奥底で、小さくだけど何かがざわめいていた。それはただの、幼い日の記憶の残像だ。
フェリスは街を歩いているとイグニスと会うイグニスはパッと顔が明るくなりフェリスに駆け寄る
「昨日ぶりじゃないか!フェリス。」 フェリスは疲れでぐったりと猫背でボソボソと話す
「あぁ、まだいたんだね」
素っ気ないフェリスにイグニスは茶目っけのある笑みを浮かべる
「随分素っ気ないじゃないか、まぁいいさ。あと数日したらレネイドから去ろうと思ってるんだがお前も行くか?」
フェリスは目を輝かせる
「またまた乗せてくれるの?!ありがとう、まぁ、やっぱり目上の人からのご厚意はしっかり受け取らないとだからね」
フェリスの芝居がかった態度にイグニスは呆れながらも優しくフェリスの頭を撫でてあげる
「あぁ、また会おう」
そう言ってイグニスは去っていった。フェリスはふっと息を吐き踵を返す宿に戻りすぐにベッドに倒れ込むフェリス。
迷宮での戦闘の疲労が、全身に重くのしか る。目を閉じると、意識は自然と深い眠りへと沈んでいった――。
眩い光の中、幼いフェリスが風魔法を操っている。
「すごい、フェリス!神童だ!」 人々からの歓声が飛び交い、拍手が絶え間な鳴る
フェリスの手から、透明な風の刃が舞う。美しい軌跡に、心が高揚する。
けれどその視線は、喜びだけではない。
光の中の人々の目は、期待と疑念にぎらついているように見え、胸の奥がひりついた。
風の刃を操る手がわずかに震み、狙いが逸れる。
「え...?!」
歓声は一瞬でざわめきに変わり、失望の声が飛んできた。
フェリスは必死に魔力を修正しようとするが、光が消え、周囲の視線が重くのしかかる。
――「私は... みんなの期待に応えられない...」
小さな自分の胸が、押し潰されるように痛む。
喉の奥がキリキリと熱くなる
汗で濡れた額と、胸のざわつきで、目が覚める。
窓の光が眩しく、外の風の匂いが現実に引き戻す。
「...... また、あの夢か...」
フェリスは息を整え、筋肉痛の脚をベッドから下ろす。
昨日の観光と今日の迷宮の疲労が過去の記憶と微妙に重なった瞬間だった




