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神器も世界樹も神獣卵も買った。あとはゲームが現実になるのを待つだけ  作者: 狐白
2.

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第52話

「依頼完了!


 全兵士生存、シーサーペント魔法師の討伐に成功!


 依頼達成度評価:S!


 獲得功績値:450!(S評価ボーナス×1.5)」


依頼完了の通知と同時に、シーサーペント魔法師が轟音を立てて崩れ落ちた。


兵士隊長は懐から信号弾を取り出し、緑色の光弾を空へと打ち上げる。


「エリアアナウンス:エリート級侵入魔物を撃破。グリーンシグナル区域の危機は解除されました!」


「助かった! この区域の危機はひとまず去った。これで避難民も安全に通行できる!」


「もし可能であれば、引き続きシーサーペント魔法師の掃討に協力していただけないか! 奴らの破壊力は凄まじい……詠唱を止められず、我々では対処が難しいのだ……!」


負傷した兵士たちは互いに肩を貸し合いながら立ち上がる。危機が去り、傷病者もすぐに治療を受け始めた。


「安心して。ちょうどそのつもりだった」


功績値は、いくらあっても足りない。

シーサーペント魔法師の掃討は、安全かつ最も効率のいい稼ぎ方だ。


「頼んだぞ!」


私たちは老人たちを避難所まで送り届けた直後、空に二発目の赤い信号弾が灯った。


ガウに跨り、即座に出発する。



精鋭ハンターとして、私たちは十三時間ぶっ通しで戦い続けた。


討伐したエリート級シーサーペントは、合計十五体。

道中で処理した小型魔物も合わせ、功績値はすでに六千に到達している。


功績ランキングでは、私たちのパーティは一人当たりのスコアが断崖のように突き抜け、二位に実に四千以上の差をつけていた。


「もう無理……死ぬ……詠唱しすぎて喉が焼けそう……」


千夏がその場にへたり込む。


私も肩に鈍い痛みを感じていた。弓を引き続けた腕は激しく震え、水筒すらまともに持てない。


周囲を見渡す。


富士山降臨エリアから大量の攻略者が到着し、第一陣の支援によって防衛圧力は大きく緩和されていた。


攻城魔物は、ほぼ掃討されつつある。


「休もう。援軍が来た」


私は座り込み、ガウの体に背を預けた。


張り詰めていた神経が一気に緩み、意識がわずかに遠のく。


十三時間に及ぶ索敵、判断、射撃。

まだレベル三十にも満たない身体には、さすがに負担が大きすぎた。


だが収穫も莫大だ。


全員の功績値は六千超え。合わせれば、西フヴニア王国の小規模な封地すら交換できる。


私自身もレベル二十九へ到達し、海族素材を大量に獲得した。


通常の狩場で一週間狩り続けたとしても、今日ほどの成果は得られないだろう。


魔物は次々と姿を消し、王都への襲撃も止んだ。


戦火と硝煙が薄れ、戦闘音も静まり返っていく。


すべてが好転しているはずなのに——

胸の奥に、言いようのない不安が渦巻いていた。


ゴゴゴゴ……。


突如、大地が再び揺れる。


降臨の瞬間に似ている。

だが、比べものにならないほど激しい。


……違う。


前世に、こんな地震はあったか?


くそ……十年前の記憶が曖昧すぎる。


そのときだった。


大気そのものを震わせるような、超低音が遠方から響いた。


まるで巨大な鯨の鳴動。

だが規模が違う。


防空警報のように都市全域へ反響し、背筋が凍る。


「……大阪湾の方向?」


私たちは崖の上に立っていた。

夕陽がゆっくりと大阪湾の彼方へ沈んでいく。


次の瞬間。


海面の下から盛り上がるように巨大な波が隆起し、岸へと激突した。


「……あれは、何だ?!」


違う。


前世にこんな出来事は絶対にない。


細部は忘れていても、一つだけ確信している。


私は前世、日没の頃に大阪降臨エリアへ到着した。

ほどなく襲撃は終息し、そのまま結果精算へ移行した。


新たな魔物も、異常事態も——

ましてや、津波など存在しなかった。


「世界アナウンス:


 警報!!!


 西フヴニア王都南西部・海竜湾にて津波を確認!

 全員、ただちに内陸へ避難せよ!」


再び——

世界が軋むような重低音。


その咆哮は途切れることなく、十数分にわたって響き続けた。


拡散した衝撃波が雲を吹き散らし、海水は沸騰したかのように跳ね狂う。


巨大な波が幾重にも重なり、狂気の勢いで西フヴニア王都へ襲いかかった。


「逃げろ!! 逃げろ————!!」


海水が一気に市街へ逆流する。


冒険者も兵士も、ただ走ることしかできない。


「……あれ、生き物なのか?!」


「あり得ない……!」


王都の四分の一が、すでに崩壊していた。


——たった一声で。


それなのに、人々は何が起きているのかすら理解できない。


「……あれは何だ……何なんだ……?!」


未曾有の恐怖が、全身の熱を奪っていく。


「——樹——」


微かに。


海の底から響く声が変質した。


空虚な咆哮ではない。


何かを——唱えている。


その声は、世界の空そのものに反響した。


「——樹——」


「——……の……樹——」

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