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神器も世界樹も神獣卵も買った。あとはゲームが現実になるのを待つだけ  作者: 狐白
1.

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27/51

第27話

――一体、どういうこと……!?


太古の時代から存在するはずの亡霊騎士が、

なぜゲーム上のシナリオ通り、そのまま立ち去らなかったのか。

なぜ――私に、目を向けた……!?


おかしい。

どう考えても、おかしい。


「……妙だな。実に、妙だ……」


騎士は、私とまったく同じ感想を口にした。


その足取りが止まる。

それ以上、こちらへ近づいてくることはなかった。


「まあいい。まずは――空にいるあの厄介者を片づけるとしよう」


「すぐに、また会いに来る。覚悟しておけ」


騎士は上体を起こし、膝をわずかに沈める。


次の瞬間――

大きく跳躍した。


重踏によって大地が再び砕け、

凄まじい衝撃波とともに、

無頭騎士の巨体がロケットのように真っ直ぐ雲間へと突き抜けていく!


そして――

河口湖ダンジョン第三関門の“本来のボス”が、

ようやく私たちの前に姿を現した。


〈バトル開始!〉


〈神社防衛結界を展開しました!

 あらゆる生物の出入りは不可能です。

 結界は30分後に解除されます〉


防衛結界が張られた。

三十分を耐え切れなければ、生きて撤退することはできない。


……だが、

さっきの“アレ”を相手にするよりは、ずっとマシだ。


インベントリ内の神器から指を離し、

私はようやく我に返った。


そのときになって、

先ほどまで心拍数が二百近くまで跳ね上がっていたことに気づく。


「凪緒! ぼーっとしないで!」


千夏の声に引き戻され、現実へと意識が戻る。


「……今の、聞こえなかった?」

胸を押さえ、呼吸を整えながら尋ねた。


「何が?」

皆が不思議そうに、こちらを見る。


「……ううん。何でもない」


ついさっきの無頭騎士の言葉は、

どうやら――私にしか聞こえていなかったらしい。


音を遮断する類のスキルを使ったのだろうか?


「ボス出現! 盾役、開幕ヘイト取れ!

 全員――全力で攻撃!」


第三関門のボスは、石像の魔法使いだった。


瞬間火力は高くない。

厄介なのは、戦闘中ずっと集中力を保ち、

ボスの“指名放逐”スキルを回避し続けなければならない点だ。


放逐を受けると結界の中へ隔離され、

戦闘終了まで何もできずに立ち尽くすことになる。


「全員、放逐スキルの予備動作を見逃すな!

 盾役はボスを外周に引っ張れ!

 ボスは壁向き! 他は背後から攻撃を続けろ!」


「放逐……来るぞ!

 そっちのアサシン、避けろ!」


燈里の足元に、紫色の火の輪が浮かび上がる。

だが彼女はすでに察知していたのか、

軽く一歩踏み出し、難なく範囲外へと抜けた。


その動きは、まさにお手本のようだった。


「今の火の輪だ!

 あれが出たら、迷わずすぐ離れる! 忘れないで!」


皆が一斉に応答する。


ボスのHPは、非常に高い。


こちらのレベルはすでに十二。

だが装備は、ほとんどが白か緑品質。

削り速度は、どうしても鈍くなる。


――長期戦は、避けられない。


「DPS、もうひと踏ん張りだ!

 向こうのチーム、もう残り三〇%まで削ってる!」


白夜が声を張り上げ、士気を煽る。


こちらは、およそ四〇%分ほど進行が遅れていた。


配信画面の向こうで、

神代明人もまた、私たちの進行状況を確認していた。


彼の口元に、得意げな笑みが浮かぶ。


勝利を確信したその表情は、

次第に歪んでいった。


「追いつけるわけがない!!

 ハハハ……勝った! 俺たちの勝ちだ!!」


「三ヒーラー編成だとか、偉そうなこと言いやがって……

 やっぱりダメだったじゃないか!

 俺のゲーム理解に逆らうからだ!!」


「勝利は俺たちのものだ!

 世界初のダンジョン初制覇!

 俺たちの名は世界に轟き、歴史に刻まれる!!

 俺たちこそ――新世界の神だ!!」


〈システムメッセージ〉

〈隊員・小林 修(剣士)が放逐されました〉


神代明人の笑みが、凍りついた。


「……何をやっている!?」


「す、すみません……隊長……

 もう……体が……本当に、動かなくて……」


小林修は、結界の内側で崩れるように膝をついた。


「役立たずが!

 あんな単純な放逐を、なぜ避けられない!!」


「……四時間です……

 四時間、ずっと高強度の戦闘を続けて……

 昨日から、ほとんど寝ていません……」


小林修の声は弱々しく、

言い返す力すら残っていなかった。


「そうですよ隊長!

 四時間の激戦ですよ!?

 ヒーラーのMPは回復魔法だけで精一杯で、

 “体力回復”に回す余裕なんてありません!」


隣の魔法使いも、喉が焼けるように痛むのか、

呪文詠唱で声が枯れ、

喋る声はかすれて、まるでアヒルの鳴き声のようだった。


「……分かっている。皆、限界だろう……

 だが、踏ん張れ!

 ここを越えれば、俺たちは大金持ちだ!!

 頼む、耐えてくれ!!」


「残り二〇%だ!」


「一五%!」


「一〇%!」


〈システムメッセージ〉

〈隊員・山本 直人ヒーラーが放逐されました〉

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脳筋ブラック企業過ぎる…
唯一のヒーラーが………
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