若者達Ⅱ
クナーのギルド本部、夕方の柔らかな陽射しが窓から差し込む受付カウンターに、四人の若者たちが笑顔を見せて戻ってきた。大剣を背に負ったエルネストが堂々と扉を開け、後ろには短槍のプラシド、弓を肩にかけたエクトル、そしてローブ姿のアンジェリカが続く。
「護衛任務、無事完了しました!」
エルネストの報告にエミリーは穏やかに頷いた。彼らがついていた小規模商隊から、丁寧な報告書がすでに届いていた。道中、多少の野盗の気配もあったが、冒険者たちは冷静に対応し、商隊を無事に目的地まで届けたという。
「依頼主の評価、良好よ。とても助かったって。特に道中での交代警備と、物資の取り扱いが丁寧だったって褒められてたわ」
四人の顔が一斉にほころんだ。努力が報われるという実感が、確かにそこにあった。
「それじゃあ、次の依頼をお願いします!」
プラシドが勢いよく前のめりになり、他の三人も目を輝かせる。エミリーは数枚の依頼書を取り出してカウンターに広げた。
「あなたたちの実力なら、このあたりが妥当ね。難易度は銅級〜鉄級の低〜中難度。選んでいいわ」
港湾倉庫の夜間巡回(2日間)
最近、密輸目的と思われる侵入未遂が複数発生。警備補佐としての参加。
街道沿いの狩猟区での罠設置支援
地域の食糧供給に協力する依頼。野獣の生態を学びつつの共同作業。
鉱山都市バルベラへの文書搬送
治安に若干の懸念あり。移動距離長め。冒険者2名以上推奨。
小規模水棲モンスターの観察と記録
ギルド研究班協力。実戦というより知識と対応力が問われる依頼。
アンジェリカが目を輝かせて水棲モンスターの依頼書に手を伸ばしかけ、エクトルは街道沿いの狩猟依頼に目を留めた。一方、エルネストとプラシドは鉱山都市バルベラの文字に思案顔で見入っていた。
「みんなで相談して決めていいわ。どれも、経験値になる依頼よ」
エミリーはそう告げて、彼らの選択を静かに見守った。