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社長が退職代行なんてしないでください!! とある退職代行への依頼

作者: 西の宮

「はい お電話ありがとうございます 


株式会社サスペンスの(はな)でございます」


「わたくし、退職代行・ヤメルートの安孫子(あびこ)と申しますが」



「はい?」



「お世話になります」


「はい、お世話になります」




「この度、御社で勤務されている 御徒町(おかちまち) 舎人(とねり)様の退職の件でご連絡をしました」


「総務か 人事のご担当者様は、現在いらっしゃいますでしょうか?」



「え? その名前、社長じゃ……少々お待ちいただけますか? 担当の者に変わりますので……♪♪♪


……申し訳ありません、人事部の西城戸(にしきど)は 既に殺されておりましたので


このまま 私が承ります、ご用件を 簡単にお伺いしてもよろしいでしょうか?」




「こんな所に居られるか! 俺は自分の部屋に戻るからな!」


「何言ってるの、1人で行動するなんて危険よ!」


「なにが1人は危ないだ、もうこの島には数人しか残ってないじゃないか!」




「 お悔やみ申し上げます。 


改めまして 私、退職代行・ヤメルートの安孫子(あびこ)と申します。 


御社にて勤務されている、御徒町(おかちまち)様の退職の件で ご連絡させていただきました」



「それは聞きましたね! 退職代行……って、あれですよね?最近話題の?


なんで社長が退職代行使ってるんですか?


社長なら、退職じゃなく 辞任や退任ですよね?」



「御徒町様から依頼を受けまして、退職希望の旨と それに伴い今後出勤ができない旨 


こちらをご本人様に代わりお伝えをさせていただきたく ご連絡をしました」



「えっ 私の指摘は無視? 退職を意地でも使い続けるし あ~……そうですか、はいはい」




「つきましては、御社での退職の手続きについて お伺いさせていただきたいんですけれども」


「御徒町社長からね、今朝になって急に休むぞって連絡が


なるほど、だから今日は出勤して来なかったのか……」


「こちらでもそのように伺っておりすね」


「ご本人様から、このまま出社したら、命日になってしまうため 通勤が厳しいという事で


この度 ご依頼を伺っておりまして」


「流石 御徒町社長、危機管理能力がありますね。大正解ですよ」




「つきましては御徒町様から、いくつかの詳細を伺っておりまして


その内容を元に、今後の手続きの手順に確認が出来ればという次第です」


「はい」


「それでは まず、退職届の提出についてですが、必要でしょうか?」


「はい、必要ですね。それと……御徒町社長のための、本人の墓石も用意しておいて欲しいですね」




「かしこまりました、退職届ですが 御社指定の決まったフォーマットはございますか?」


「はい?」


「えー、御社の指定の書式は ございますでしょうか?」


「いえ、特にないです。


退職届けに「全て わたしがやりました」と 一筆書いていただければ」




「ちなみに、メールでのやり取りは難しいでしょうか?」


「ご本人様は書類の郵送であれば、問題なく可能と伺っております」


「じゃー、こちらからPDFを添付したメールを、こちらから送って記入してもらって


また 送付してもらうのは難しい?」


「ご本人様の返信が必要ということでしょうか?」


「はい」


「申し訳ございません、直接のメールではなく、郵送のみご希望されておりまして」


「全部郵送での対応のみってことね?」


「はい」




「直接見つけるしかない か、逃げ足だけは早いな」


「では、御徒町様の退職届を記載して 郵送するようにお伝えさせていただきますね」


「はい、それで結構です」




「支給された1ヶ月分の交通費、船舶通勤定期の対応がどうすればいいかと仰っておりましたが」


「あ~ それはこちらで確認しますので 折り返しのご連絡になりますね」


「かしこまりました」


「定期代のことですよね? 払い戻しの上で返却が必要かどうか」


「そうですね、では交通費と給与の件について、折り返し ご連絡いただければ」




「退職届に記載する退職日なのですが、ご本人様は有給を使用して、最短で退職したいということで


そちらは、就業規則に則った対応という事でお間違いないでしょうか?」


「本日中に、就業規則が無くなるので、問題ありません」


「無くなるものなんですか?」


「はい、全員 亡くなりますね」




「有給残日数が、ご本人様の認識では27日あるという認識だったのですが


そちらはお間違いないでしょうか?」


「あーはい、たぶん 27日ですね」


「その27日を使用した退職日となると、何日付になりますか?」


「どうなるんでしょうかね、今日からだったら……


ここから27日数えててください」


「えーっと1、2,3――




「小野田取締役! (かささぎ)部長まで殺されてます! おそらく、毒物かと」


「これで、もう4人か……やはり この中に犯人が居るのか? それとも外部犯?この嵐だぞ!」


「このままだと、会社の倒産より、社員の人生リストラの方が早いですよ!」




「――あの、警察に通報しないんですか? 通報が必要であれば


こちらで対応させていただきますが、いかがいたしましょう?」


「通報しても無駄ですね。台風が接近中ですし、今やこの島は 絶海の孤島なので……


警察に通報しても、彼等が来るまでには、この事件は終わらせます。


失礼、話を戻しますが 27日ですか?」





「倒産の危機どころか、連続殺人事件が起きてますけど、残り4人で会社は成り立つんでしょうか?」


「ご安心ください、本日中には終わらせますので」


「えっ……と、それでは、27日付で記載させていただきますね」




「また、お手元に社章と名刺、保険証、制服があると伺ってますので 


こちらは、退職届と同封して 返却するようにお伝えいたしますが


こちらの郵送先は、株式会社サスペンス様本社宛で お間違いないでしょうか?」


「制服、ですか?弊社に制服があったのは 初耳ですね」


「では制服の方は、依頼者様の 八つ当たりに使わせていただいてよろしいでしょうか?」


「そうですね、転売しないと約束していただけるなら お任せします」


「ああ、ご安心ください。既に 御徒町様が、目の前で全力でビリビリに破いてました。


「こんな呪われた服 2度と着るか!」と叫んでまして」


「えっ? そこに居るんですか? 後で始末しに行かないと」


「絶対に来ないでくださいね」





「それでは 退職後の必要書類といたしまして、3点。


発行を希望している書類がございますので お伝えさせていただきますね?」


「はい」


「はい まず1点目、源泉徴収票


2点目が離職票、3点目が健康保険資格喪失証明書の 3点となります」


「3点ですか……こちらもね? 希望の書類を送りたいんですけれど


今日中に この島で全員不審な死を遂げるので、送れる人間が残らないかと」


「はぁ」


「それと 社員と違って社長は、離職票は出ませんよ?」


「えっと……では なんとか、他2点の ご対応をよろしくお願いいたします」





「では最後になりますが 今後についてですけれども


ご本人様より、御徒町様のご自宅への連絡を含め 直接の連絡は控えて欲しいと伺っております」



「あっ 小野田さん、こちらに隠れてたんですね! ちょっと右に寄っていただけますか?


はい、ドンッ っと」



「これでよし……なんとか、弊社の人間は 私1人だけになりましたので 


御徒町社長に電話することはありませんから、安心して欲しいと お伝え願えますでしょうか?」



「え? 電話しながら何されてたんです?」


「騒がしくして、すみませんね。これで 御徒町社長以外、全員終わったんで


先程はお時間をいただき申し訳ございません。 部屋に閉じこもってた、最後の2人をおびき出すのに苦労しまして」




「……何か 今後ご本人様から送られてくる郵送物に、不備がございましたら


今後は私、退職代行・ぶぶ漬けの安孫子(あびこ) がお電話を承り伝言させていただきますので 


それではこれから 電話番号を申し上げます」




「一応メモしておきますね、口封じの時に必要になるかもしれないので



ちょっと待ってね……はい、お願いします」


「000―9876―564219です」


「000-98の56……4219ね? はいはい」


「はい」




「重ねて申し上げます、担当の安孫子(あびこ)と申します」


安孫子(あびこ)さんね」




「この会社は、なんていう法人名なんです?」


「こちら、退職代行・ヤメルート となっております?」


「ヤメルート?」


「はい、おっしゃる通りでございます」




「何かあったら安孫子(あびこ)さんに電話すればいいのね?」


「はい、よろしくお願いします」


「うん、了解」


「よろしくお願いします 失礼いたします」


「失礼します~」






「退職代行の電話したら、孤島で人生の退職が起きてた……



しかも、電話で話した相手が 連続殺人犯だったんだけど」



「そういう事なら、時々あるから気にすんなよ



俺なんて大統領選の演説中に、現役議員の辞職代行を受けたこともあるぜ」

友人の会社に退職代行の連絡があったので、1作


I don't get paid enough for this shit !

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