表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6.0  作者: ただのアニオタ
1/4

始まり

「もう少しで、、、出来るぞ、、、」


 男は震える声で言った。疲労が溜まり、今にも果てそうな姿をしていた。


「お前に、、、この世の全てを託す、、、、!」


 ぴくりともしない手を必死に抑え、道具を手に取る。


「出来た、、、これで、、、これで、、、罪を償えるっ、、、、」

 充血した目からは、少量の涙が溢れる


「お前が、、、世界を救う、、、希望となる、、、人類を頼んだぞ、、、」


男は椅子から崩れ落ち、力尽きた






 ーー西暦2106年。世界は崩壊した。

 世界の西暦は22世紀に突入し人工知能の普及率が上がった。Dr.レイジーは20歳と言う若さで世界初の完全人型意思AIを作ることに成功し、世界に多大な影響を与えた。年を重ねるにつれ、AIはどんどん発展していき、より強く、より大きく変化した。そして人はAIとの共存を望んだ。


 だが、AIは違った。

 意思を持ったAIは、自分らを従える人間に恨みを持ち、世界を支配し、逆に人間を従えようと考えた。


 そして、人類とAIによる大戦が火蓋を切った


 人類とAIの戦いは10年以上続いた。大量に生産されていた量産型も暴走を始め、人類はAIに圧倒的な戦力で大差をつけられていた。


 都市は壊滅し、地下も地上も海も空も、全てがAIに支配された。


 そして、国々はAIへの降伏を始め、世界の支配者となったAIを人間はこう呼んだ。

 完全者<ペフテ>とーー




 それから100年が経ち、西暦は2206年。

 23世紀突入。


「おい、そっちにあったか〜?」


 1人の少年がくもった声で言う

 それに応答するようにもう1人が言う


「ありません」

「見つかんねぇなぁ」


 頭をかきながら、着けていたマスクを顎下に引きずる


 2人は何十とある瓦礫の山でひたすらに何かを探していた


「今日は遅いので帰りましょう。ロイ」

 ロイ・イテル。この灰と化した世界を生きる15歳の少年だ。


「そうだな。エリアス」

 エリアス・ペッパー。ロイと共にこの世界を生きる相棒であり、人型のペフテでもある。


「やっぱ、残ってないよな」

「明日は別の場所を探しましょう。ロイ」

「でもなぁ。サプレッサーなんて落ちてるかね」


 ペフテの侵略により、生き残った人間は街の瓦礫や戦いに負け、残骸と化したペフテや武器を漁り、それを売り払い金にして生活している人が大半を占めている。だが、ロイ達は違った。


「分かりません。ですが、西の方に行けばさらに良い物が手に入る可能性はあります」


 今いる場所から見て、西の方向は主に市街地だった場所で、この周辺でもよく抗争が勃発していた所だ


「まぁ、このことは置いといて夕飯にするぞ」

「分かりました」


 ロイは地面に薪を並べ、素早く火を点ける。バッグに入っている小さなポットを取り出し、手際よくスープなどの夕飯を用意していく。

 手のひらに収まる程度の小さなパンと、野菜が少し入ったスープをエリアスに渡す


「ほらよ」

「・・・・」


 夕飯を受け取ったエリアスだが、それを口にせず沈黙が訪れる


「ん?どうしたエリアス。食べろよ」


 エリアスが冷静に答える

「いえ。ただ、何故私に貴重な食料をくれるのですか?私はペフテ。食べなくても生きていけますし、育ち盛りのロイには1番必要なものでしょ?」


 確かに、ペフテは食べなくても生きていける体を持っている。だが、ロイの答えはもう決まっていた。


「いいんだよ。エリアスと食う飯は美味いからな」

「いつも、そう言うじゃないですか」

「当たり前だろ」


 周りに瓦礫だらけのこの場所に、2人のほんのりとした時間が流れていく



 それから一晩が経ち



「よしっ。武器も完成したし、サプレッサー探しがてら行きますか」

「そうしましょう」


 瓦礫が散乱し、足場が不安定な場所を進んでいく2人


「このあたりか」


 屋根や壁が崩れ落ちて、見るも無惨な姿になった家が何個も連なっていて、以前の姿が思い浮かぶような街並みが広がっている。


「えぇ。でも、奴らが徘徊してるかも」

「・・・・そうだな。注意していくぞ」


 2人はその"奴ら"に見つからないように、静かに探し始める


「やっぱないか・・・・」


 高価なものはきっと先客に取られているだろうし、武器として需要の高いものは国が回収していてもおかしくない。

 ロイとエリアスもあまり期待をせず、ため息を吐きながら探していた。


「お!」


 ロイが何かを見つけ、声を出した。

 瓦礫の隙間に、銃のストック部分が見えていた


「エリアス!手伝ってくれ!」


 ロイ1人の力では引っ張ってもびくともせず、エリアスに助けを求める。


「3.2.1で引っ張るぞ」

「えぇ」




「3…2…1!!」

「っ!」


 ロイとエリアスは同時に引っ張ったが、エリアスが力を込めすぎて瓦礫の山が雪崩のように、2人に押し寄せていく。


「やばっ!」


 すかさず、エリアスはロイを抱えて抜け出した。


「大丈夫?ロイ」

「ん?あぁ....」


 ロイはどこか恥ずかしそうにエリアスに言う


「そのぉ、、降ろしてくれないかな、、?」


 ロイはエリアスにお姫様抱っこをされている状態だった。


「今、降ろすわ」


 エリアスも慌てた口調で言った。


「色々大変だったけど、お目当ての物も手に入ってよかったよかった」

「流石、ロイ」

「いやいや、エリアスのおかげだよ」


 ロイは照れくさそうにそう言った。


「やっと完成した〜!」

「おめでとう」


 この世界で生き抜くためには必須な武器はやはり、遠距離を得意とする銃なんかが主流であり、エリアスのようなペフテを仲間につけている人はあまりいない。


「相変わらず堅苦しいなぁ」

「そんなことないです」


 エリアスとは10年以上もの付き合いがあるが、あまりタメで話すような性格をしておらず、いつも敬語なのか、よく分からない話し方をしてくる。


「そんなことあるわい。早く、先に進むぞ」


 ロイが先に行こうとするとエリアスが


「待って、ロイ」


 と言い、服の後ろを掴んで後ろに連れ戻した。


「ど、どうした?エリアス」


 ロイが少し、おどおどしながらエリアスに尋ねる


「見て、あそこ」

「あ、あれは!」


 2人の視線の先には、遭遇することを恐れていた奴がいた。


「コムニスよ」


 コムニス。2本足で立ち、体格は約2mほどで細長い腕に指はなく、代わりに先端が鋭く尖っている。

 人間に敵対する1番、一般的なペフテである


「数は、、、1体か」

「どうするの?ロイ」


 奴らの強さは武装した人間と張り合えるほどで、ロイには遠距離の銃に加え、エリアスと言う強力な味方もいる。


「よし、戦おう。行けるか、エリアス?」

「はい」


 ロイは息を込めて、言う


「よし。行くぞ」

読んでいただきありがとうございます!

もしよかったらブックマークやいいねが今後の励みになるのでよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ